【感想・ネタバレ】千一夜の夢に抱かれてのレビュー

あらすじ

深い悲しみを背負ったふたりが、うたかたの愛を紡ぐとき――

雇い主ブラムの姿をひと目見た瞬間、臨時秘書のルビーは呼吸を忘れた。“この世のものとは思えないほど美しい異国の大富豪”――5年も隠遁生活を送っているにもかかわらず、その魅力は健在らしい。初対面の臨時秘書に不信感をあらわにするブラムだったが、彼はルビーが天涯孤独だと知ると、驚くことに便宜結婚を申し出た。祖国に戻ることになり、花嫁を連れ帰る必要に迫られているのだと。大富豪の妻なんて大それた役が、私なんかに務まるのかしら……。ルビーは悩んだ末、亡父の負債を返済するために依頼を引き受けた。口裏合わせのロマンスを創作し、ブラムの優しさに触れるにつれて、つのる想いに苦しむことになるとは思わずに。

■相思相愛の妻としてブラムの国を訪れたルビーは、彼が弟のために自ら国を追われ、その背景に愛する女性の存在があったことを知って苦悩します。期限つきのはかない恋の結末は……? RITA賞受賞作家L・フィールディングが繊細に紡ぐ、美しき千一夜物語。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

面白いし、とても読後感の良い小説だと思う。

若気の至りで、皇太子の地位を剥奪され、国外追放となったシークと、彼が父王と和解するために「契約妻」となった秘書の純愛。

シーク自身も言うように、「結婚してから恋に落ちた」二人だが、実はシークの「過ち」はわざと起こした騒動で、その裏には哀しい事情があったー。
彼は自身の政略的都合で迎える他国の王女が弟と恋仲であることを知り、自ら「事件」をでっちあげ、王位も婚約者も弟に譲ったのだ。

ハーレの一般的ヒーローとは違い、こちらのヒーローは俺様でもなく、ひたすら自分より他人のことを気遣う優しさと男気を併せ持つイケメン。
また、ラストまで主役カップルが一線を越えないところも、プラトニックで素敵だ。
その他は、終盤でヒロインがヒーローと想いを確かめ合った直後、ヒーローを庇って瀕死の重傷を負うシーンがあるのだけれど、そのシーンの前後、シーンの切り替えがもの凄く鮮やかというか、切れ味が鋭い展開というか。
たとえるなら、舞台劇を見ていて、舞台が素早く暗転するような感覚で読んだ。
長年、小説を書いてきて、当たり前だが、本当に学ぶことは多いんだなと痛感した。

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2025年06月17日

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