あらすじ
地方どころか、日本が消える!? 急激な人口減少が始まった。このままいけば、2060年には8000万人台、つまり現在の3分の2にまで減る見込みである。しかも、超高齢社会で、経済成長、社会保障制度などへの影響が深刻だ。また、2014年の日本創成会議による提言=「地方消滅」は全国に衝撃を与えたが、手を拱(こまね)いていれば確実に訪れる未来図なのである。そして、地方が消滅したその先には、日本全体の消滅が待っている!本書は、少子高齢化・人口減少、都市と地方などの国土構造がわが国に及ぼす課題を分析し、「日本消滅を回避する戦略」を検討したものである。われわれは、将来の世代に豊かな日本を残せるのか?
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Posted by ブクログ
タイトルはやや流行り物系だが、著者の加藤氏はこの分野では盤石の信頼感。
少子高齢化というが、人口減の要因は「少子化」。人口減社会は経済成長しなければ支えられない。さもなければ財政はもたない。東京集中によって地方は消滅し、その東京もこのまま無策なら消滅する。日本はなくなる。
処方箋は十分語りつくされているのだ。
高齢者から子育て世代、さらには若年層への社会給付のシフト。
消費税の引き上げ(何人もの誠実な学者に何度も指摘されているとおり、これは「弱者いじめの税」ではない。逆進性は世間で吹聴されているようには高くない)。
規制緩和による生産性の向上。
少なくともOECDの統計から観察される限り、少なくとも手を打てば効果が出るであろうことはかなり期待できる。それでも、「もっと他に削るべき分野があるはず」「説明が尽くされていない」とそれ自体はどうしようもない反論が総論賛成の中で繰り返され、有権者の多数派は高齢者ばかりとなる、という道を日本は数十年かけて歩んできた。
「何にも増して不足しているのは、将来に対する想像力の欠如である」(P277)。冷静な筆致の加藤氏らしからぬ文意の乱れが主張の切実さを際立たせる。不足しているのはもちろん想像力そのものだろう。
同じ加藤氏の「世代間格差」を読んだのが2013年。著者の危機感は比較にならないほど高まっている。