あらすじ
東日本大震災の津波で、壊滅的な被害を受けた岩手県陸前高田市。そこで、文化4年(1807年)から続く老舗醤油蔵・八木澤商店は、200年以上の歴史を持つ土蔵や杉桶、そして醤油屋の命である「もろみ」を津波で失った。誰もが「終わった」と思ったが、九代目の河野通洋は震災から5日目にして「必ず再建する」と社員を前に約束する。醤油をもう一度つくれる日を夢見て、必死に再建を目指す社員たち。そんな中、伝統の醤油復活のために不可欠なもろみが思いがけないところで見つかるが、それは彼らが直面する困難の序章に過ぎなかった……。河野をはじめ、八木澤商店の社員たち、そして陸前高田の人々の5年間の苦闘を、緻密な取材で描くノンフィクション。
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Posted by ブクログ
1.醸造業界について何も知らなかったのでリアルを知ることにしました。
2.東日本大震災の影響により、大打撃を受けた八木澤商店がゼロから復興を目指す物語です。醤油を作るには100年単位の時間がかかるため、当時の社長はあきらめかけていたのですが、息子の通祥さんが「俺、社長やるよ」と決意したことからこの物語は始まります。そこから、社員と喧嘩をしたり、社員が次々に辞めていったりします。また、震災のストレスで寝れない日々が続きます。しかし、かつての仲間から奇跡的に、醤油づくりの根幹である「もろみ」を調達出来たり、地域の人と支えあえたりしながら徐々に醤油の復活に兆しが見えてきます。
3.想像以上にインパクトのある内容で驚きました。自分の周りにも震災の影響により甚大な被害を被った人が多数います。そんななかでも必死に生きていく姿にはいつも感動させられています。ぶつけようのない怒りと悲しみがどれだけ辛いのか、私には、当事者のほんの一部しか理解できないのかもしれません。ただ、私にできることは、震災の経験や被害者の気持ちを汲み取りながら、ビジネスとして貢献していくことだと思います。仕事は人の7割を占めています。そのため、仕事が生きがいという人もいます。今仕事があることに感謝し、自分が何をやれば日本の社会に貢献できるのか、常に考えていけば、日本の復興にも近づくのではないかと思います。
Posted by ブクログ
土曜日,1日で読んでしまいました。休日に一気に本を読み切るのは,久しぶりです。それほど,本書のいろんな場面で「今後どうなるのだろう」と気になりました。不謹慎な言い方になるかも知れませんが,物語の先が読みたくなる本でした。著者の竹内さんは,本書が初めての著作だなんて思えないくらい,大変読みやすくてしかも臨場感あるルポになっていると思います。
取りあげられている人物が,どの方も人間的な魅力にあふれています。その方々の言葉に,時々立ち止まりながら,読み進めました。いや,むしろ,立ち止まらないと読み進められなかったのです。
本書の売上げの3%は,震災孤児の就学支援のための基金に寄付するそうなので,是非,ご自分で購入してお読みください。
震災の悲惨さと共に,人間の生きる力を感じさせてくれる本です。
八木澤商店のお醤油を味わってみたくなりました。