あらすじ
われわれが日々利用する電車、そして世界に類を見ない高密度輸送を行なう東京圏の鉄道は、誰がどのように管理し、支えているのか。国内最大規模の指令室であるJR東日本の東京総合指令室を取材し、紹介する。この指令室では、1日約1400万人を運ぶ東京圏の在来線輸送を管理しており、所属する500人余りの社員が、乱れたダイヤを回復させ、トラブルで停まった列車をなんとか動かそうと奮闘している。本書では、これまでほとんど紹介されることがなかった指令室の過去・現在・未来に迫り、東京や日本の鉄道の側面をかいま見る。
川辺 謙一(かわべけんいち)
鉄道技術ライター、交通技術ライター。1970年、三重県生まれ。東北大学工学部卒、東北大学大学院工学研究科修了。化学メーカーに入社後、半導体材料等の開発に従事し、2004年に独立。高度化した技術を一般向けに翻訳したり、鉄道や道路を支える現場や当事者を紹介する活動を行なっている。近著に『鉄道をつくる人たち』(交通新聞社)、『鉄道を科学する』(SBクリエイティブ)、『図解・首都高速の科学』(講談社)、『鐵路的科學』(中国語版・晨星出版社)などがある。本書では図版も担当。
感情タグBEST3
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東京圏の鉄道輸送を電力、信号、転轍機から車両、人員の運用まで一手に引き受ける指令室。稠密運行が当たり前のJRの裏方として奮闘する司令員の皆さんは尊敬に値する。スジ屋と言われるダイヤ編成のプロがいることは知っていたが、それだけでは様々な障害に対応するできないことが本書を読むと良く判る。これだから鉄道は面白い!
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JR東日本の鉄道輸送を支える心臓部「東京総合指令室」を紹介してくれる一冊。
写真など詳細情報はないけれど、セキュリティ性の高い施設を概要だけでも紹介してくれるのは興味深い。
500名のスタッフが東京体育館アリーナくらいの広いフロアで24時間当直勤務しているようで、仕事は輸送指令、運用指令、営業運輸指令、設備指令に分かれている。
東京圏輸送管理システムATOSに注目してしまうが、けっこう人手の作業が多いようで、発想を変えればシステムダウンしても対応できるってことで若手教育やBCP的には良いのかな。
日々の運用管理をされている方には本当に頭が下がる。東日本大震災の直後は、「毎日がダイヤ改正」状態だったということで、読んでいるだけで胃が痛くなりそうなところもあった。
武蔵野線は折り返し運転に強いらしい。
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#879「東京総合指令室」
首都圏の鉄道を管理する、JR東日本の「東京総合指令室」。その性格ゆゑ、表舞台に出る事は少ない組織であります。本書でも、セキュリティ上、詳しく書けない事もあつて隔靴掻痒の感があります。それでも現場のルポ、関係者インタヴューなどで、想像を膨らませる事が出来ました。
天下の東京圏を走る電車群の、現在の走行位置がリアルタイムで掴めるやうになつたのが、意外と最近の事だと知り、驚きました。ATOSつて凄いね。
スタッフの皆さま、今後も頑張つて下さい。
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司令室で、運行管理をしているのは知っていたが、
司令室で働くみなさんに改めて感謝します。
特殊な技術が必要なのかと思いきや、普通に人事異動で配属されるようで、それにもビックリしました。
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東京の某所では一日約1400万人、約8000本の列車の運行を支えるところがあるとは知らなかった。
1996年に中央線に導入されたATOS(Autonomous Decentralized Transport Operation Control System)がどんどん進化して広い範囲の路線(2014年4月時点で線路延長1181.3km)をカバーしてるとのこと。
それでも指令室が管理する1269.7kmすべてをカバーし切れていない。まだまだ進化途中のようだ。
出版元の交通新聞社という会社は初耳だったが、鉄道関連の書籍を結構出版しているみたいである。
内容とは関係ないが、「足らない」という記述がどうも古くさい言い回しに感じてしょうがない。(「足りない」も「足らない」も意味は同じなんですが個人的な好き嫌いなもので)
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JR東日本で電車の運行を管理、遅延などの対策をとる東京総合指令室の仕組み、技術などを伝えている。自分が毎日通勤で使っている横須賀線、逗子駅も登場。テロ対策のため、場所がどこにあるかも(この本でも)明らかにされていない指令室を取材し、コンピュータのATOSなどで自動化されている部分、それにも増して重要な人間によるオペレーションがよくわかる。この3月のダイヤ改正による上野東京ラインにも触れていている。この本を読みながら乗っていた終電も遅れたのだが、今、その瞬間に苦労をしている人達がいるかと思うと、気にならなくなった。
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○巨大鉄道企業・JR東日本の秘密が詰まっている
実際にJR東日本の「東京総合指令室」へ訪問し、関係者へインタビューしたルポである。
関東地区でATOSという管理システムが導入されてから、通常時もさることながら遅れが発生したりしたときに情報の発信が頻繁になったり遅れを解消するスピードが速くなったのではないか。JRのユーザーエクスペリエンスは格段に向上したはずである。
それを支える舞台が東京総合指令室。本書では、豊富なインタビューと取材で、いまのJRのあり様と発展してきた経過、ATOSの前のCTCなどの時代から掘り下げて解説している。
この中で一番驚いたのは「お客様目線で運輸指令も動くようになった」というような記述である。
確かに、ある一定の時期から全社的にお客様目線を大事にするような風潮が見て取れるような気がしていたが、お客様と直接接しない指令の人たちでも、そういう意識で仕事をしているのだ、と思わず感心させられる。
少し物足りない面があるとすれば、東京総合指令室以外の指令室、例えば新幹線や大阪などのことも取り上げて比較しても面白かったかもしれない。