あらすじ
名神ハイウェイバスがスタートしてから半世紀、高速バスは年間1億人輸送機関に成長し、鉄道・航空機と並ぶ国民の足となった。しかし、鉄道や航空機と比べると関連書物は乏しく、また昨今の高速バスの事故でその安全性を不安視する人もいる。本書は、開発段階から高速バスとともに歩み、設計・輸送・旅行・そして経営とあらゆる部門でかかわってきた西日本ジェイアールバス元社長である著者が、高速バスの車両・ネットワークの発展の歴史を紐解きつつ、高速バスの主な構造から、利用者が高速バスを選択する理由、気になる安全対策まで豊富なデータを基に紹介。高速バスの幅広い情報が網羅された一冊。
和佐田 貞一(わさだ ていいち)
元西日本ジェイアールバス社長。昭和39年富士重工業群馬製作所入社。昭和46年群馬大学大学院(機械)修了・国鉄入社。昭和56年に運転局列車課補佐、昭和62年にJR西日本鉄道事業本部運輸部輸送課長、平成2年に旅行業本部京都営業支店長、平成11年にJR西日本コミュニケーションズ常務などを歴任した後、平成19年に西日本ジェイアールバス社長に就任(平成24年退任)。西日本ジェイアールバス社長時代には、ツアーバスとの競合対策、JR大阪駅の高速バスターミナルの開業などを手掛けた。
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Posted by ブクログ
私自身もよく高速バスを利用しているが、高速バスの歴史についてはさほど知らなかった。この本を読み、高速バスが50年の歴史の中で、どのような経緯を辿り、どのように改善されたかを学んだ。他の交通(鉄道、航空)には無い強みを生かして運行されていると理解した。これから乗車する際は、50年の歴史に思いを馳せてみたい。
Posted by ブクログ
高速バスの歴史や現状、特徴や得意分野などについて網羅的に取り上げた本。著者も「はじめに」で書いているが、高速バスに関する類書はほとんどなく、興味深かった。特に面白かったのは、高速バスの黎明期で、そもそも高速道路自体が開業して間もなく、誰も高速での長距離走行の経験がなかったため、時速80kmで走行する訓練で運転手が音を上げたというのが時代を感じさせる。バスの仕様や性能といったハード面の変遷も面白かった。
他方、現在の全国各地のバス路線網の紹介は、網羅的ではあるものの、個人的に馴染みのない地域も多く、少々退屈であった。もっと全国をバスで旅行していれば、より楽しめたかもしれない。