あらすじ
2010(平成22)年12月4日、東北新幹線が新青森まで開通した。一方、在来線の東北線は、1891(明治24)年9月1日に上野~青森間の全線が開業、2011年(平成23)年が120周年目にあたる。これを建設したのは、岩倉具視らが中心となって当時の華族などの有志から資金を募って創立された、日本初の民間鉄道会社「日本鉄道」。社名は、当時、東北から九州までの日本全土を視野に入れて付けられた。本書では、その創立前夜から東北線全線開業までの明示鉄道人のドラマを追う。
中村建治(なかむらけんじ)
1946(昭和21)年、山梨県大月市生まれ。明治大学政治経済学部卒業。鉄道史学会会員。鉄道史に親しむ一方、駅舎に関心を持ち、全国行脚の旅を続けている。著書に『中央線誕生』(甲武鉄道の開業に賭けた挑戦者たち=本の風景社)、『山手線誕生』(半世紀かけて環状線をつなげた東京の鉄道史=イカロス出版)、『メトロ誕生』(地下鉄を拓いた早川徳次と五島慶太の攻防=交通新聞社)。『東海道線誕生』(鉄道の父・井上勝の生涯=イカロス出版)、分担執筆に『週刊百科・歴史でめぐる鉄道全路線』(朝日新聞社)などがある。
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感情タグBEST3
Posted by ブクログ
実際に鉄道のダイヤ改正に携わっていた方が自身の体験を語っている本です。なので網羅性はないのですが、臨時列車を1本入れるのにどれだけ悩むのか、といった苦労が良く判ります。それにしてもこれだけの作業をコンピューター無しで、紙と鉛筆と定規と電話だけでやっていたというの、今から見ると考えられない凄さですわ。
Posted by ブクログ
筋金入りのスジ屋が、昭和の激動期に手作業でダイヤを組む苦労談。国鉄が日本全国を管理していた時代であっても、鉄道管理局管轄地を跨ぐダイヤ作成は並大抵のものではなかったことが分かる。手書きのダイヤを基にした石版ダイヤを作成するのも、失敗が許されない緊張感が伝わってくる。つくば科学博輸送では、寝台列車をホテル代わりに運用していたことを初めて知り、驚きと羨ましさがつのる。千葉県在住だったので、自動車で科学博に行ったことが悔やまれる(笑)