あらすじ
戦後復興期の昭和28年に国鉄に入社し、昭和35年に念願の車掌となる。その後、専務車掌に昇格し、退職する昭和62年まで「一車掌」として働き続けた著者による列車の中の昭和史。戦後復興期から高度経済成長時代を経て昭和の終焉へと至る時代の、涙あり、笑いありの体験記録。奮闘ぶり、人間模様が軽妙なタッチでここに甦る。
坂本 衛(さかもとまもる)
昭和10年生まれ。昭和28年に国鉄に就職し、吹田操車場、西宮駅、岸辺駅勤務を経て、昭和35年に車掌となる。昭和43年専務車掌に昇格。以後昭和62年まで車掌ひと筋の人生を歩む。著書に『坂本衛の鉄道模型マル秘工作手帳』(山海堂)、『鉄道施設がわかる本』(山海堂)、『超秘湯に入ろう!』(筑摩書房)などがある。
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国鉄最後の日をもって退職ということは、昭和62年なのだろう。それは昭和も終焉を迎える頃である。鉄道の車掌というのは、鉄道マニアにとって趣味と実益を兼ねた職業だと著者も言う。自分は車掌よりも運転士に憧れた。でも、旅好きでもあり、当時の車掌の乗務や、行った先での乗務間合を見ると、青森から九州・西鹿児島までを守備範囲としていた著者の生活は羨ましい。しかし、どんな職業でも嫌な面、過酷な状況はある。それを乗り越えられたのは「好き」ということか。
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戦後復興期の昭和28年に国鉄に入社し、昭和35年に
念願の車掌となる。その後、専務車掌に昇格し、退職す
る昭和62年まで「一車掌」として働き続けた著者によ
る列車の中の昭和史。戦後復興期から高度経済成長時代
を経て昭和の終焉へと至る時代の涙あり、笑いありの体
験記録。(2009年刊)
はじめに
第一章 少年期から国鉄就職まで
第二章 普通車掌編
第三章 専務車掌編
第四章 専務車掌の楽しみ
第五章 けしからん話
第六章 乗務間合いの過ごし方
第七章 あとがきに代えてー最終乗務の日
面白くて読みやすい。文書のテンポが良いせいかサクサ
クと読める。氏の著書は漫画カレチの参考文献にもあげ
られているが、仕事愛に溢れた内容である。
氏は中学校卒業後、工場で働きながら定時制高校へ通い、
18歳の暮れ、見習いとして国鉄に入社したという。
読んでいて感じたのは、社会全体が貧しかったと思うが、
そこそこ巻き返す事が可能な時代だったのではないかと
いう事である。(社会格差はあっても、絶望しなくて済
んだとでも言おうか、活力が溢れていた感じがする)
個人的には、客室専務車掌の夏服姿のスマートさが今で
も思い出される。当時は走っていた国鉄色のL特急、決し
て乗り心地の良いものではなかったが、旅情を掻き立て
たものです。