【感想・ネタバレ】最後の乗客のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ネタバレ

導入部では古典的な幽霊船の怪談調(過去の話)ではじまり、現代へと転じると主人公の主観へ交代する。
内容の半分までは正統なホラーといった感じで、現代の科学技術が通じぬ正体不明、神出鬼没の敵対者に対する恐怖だったが、
中盤以降は幽霊の正体や意図は不明なのものの、その性質は明らかになっていき、ややパニックホラー寄りのテイストになった。
終盤では幽霊の正体(ユダヤの悪霊)までも明らかになり、その召喚と制御不能になるまでの過程も描かれており、幽霊譚だけで無くループ物でもあったのかと謎がすべて解けるような作りになっていた。
読んでいてスッキリはするが、やはり中盤あたりまでの「正体不明・手口不明の怪異」こそがホラーであるので、「ホラーは短編が良い」は間違っていない気がする。

話の背景が「またナチスか」だったり(ヨーロッパはよほどナチに大きな傷があるのか、悪として出しやすいのか?)、終盤はドッカンドッカンだったりで「海外産の作品だなぁ」という感じはしたが、読ませる文章で翻訳もうまく、上手に推理・想像をかき立てる作りになっていた("霧"の地点は過去と現代が二重になる時間の狂った空間なのかとか、"最後の乗客"は富豪のことで作品中でループして子供に戻り序盤に戻るのかとか)ので、
他の作品、特にヒットしたシリーズを(一切翻訳されていないが)読んでみたくなった。

また、作品の途中で「無駄な濡れ場の描写が過ぎてくどい。せいぜい1回でいいだろう」と思ったが、オチ(=タイトル)を思うと必要だったのかと納得した。

0
2024年03月24日

「小説」ランキング