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表紙をめくると、目にも鮮やか、口が熱くなりそうな写真が飛び込んでくる。
真っ赤で辛くて美味しいトウガラシ。
これは一体どこでう前、どのように広がり、どう使われてきたのか。
小さいけれどすこびる(すこぶる)衝撃的なトウガラシの旅へ!
トウガラシの生まれは中南米。
どうもそこらへんに生えていたものらしく、今でも野生種が残っているという。
大航海時代を経てヨーロッパに伝わったばかりの頃、彼らはこう言われていた。
「食べると死ぬ」と。
しかしそんな「死」を連想させる彼らは今ではカレーになくてはならないもの、ブータンではこれ抜きなんて考えられない、韓国では生活の一部となって私たちの舌をヒリヒリさせている。
辛い辛い、でもつい食べてしまう。
動物たちの中でもこんなへんてこな好みを持つのは我ら人間だけ.....ではないのだ。
なんと鳥はパクパクとついばむのだそう。
なぜなら、鳥たちは辛さを感じないからなのだそう。
食べられて遠くまで運ばれ種を増やすことができる上に発芽率も上がるということだ。
生命の不思議!
この唐辛子の辛さを測定したいと思った人がいた。
名をウィルバー・スコヴィルと言う。
舌で感知できなくなるまで薄めて味わうという極めて単純な方法ながら、スコヴィルという単位を生み出し、機械測定できるようになった今でもこの単位を使う人は少なくない。
日本の鷹の爪は50000スコヴィル程度らしいのだが、最初の方は辛くてヒーヒー言わなかったのだろうか.....。
私の大好きなパプリカ。
肉厚で美味しく、生でも火を通しても食べられ、彩り豊かな食卓になるので重宝している。
スーパーで見るそれは大抵韓国産。
しかし!パプリカの原産地はなんとハンガリー。
これは知らなかった。
しかも、壊れやすいビタミンCを効率的に抽出するにはこのパプリカが大活躍!
ビタミン研究の立役者というのだから侮れない。
ハンガリーに行った際には是非ともパプリカ料理を堪能したいものだ。
トウガラシ、小さな体の偉大な冒険。
敬意を示して今夜のおかずにはトウガラシ料理はいかが?
とはいえ.....辛すぎない程度でお願いしますね。
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トウガラシが実に多様な品種を持っているということが驚きだった。しかもこれは栽培品種と野生種が混じっているという所が面白い。
それこそ同じアメリカ大陸原産のトウモロコシは野生種が見つからないことで有名であることを鑑みると不思議である。
その答えが、①香辛料として使用するので効率性がそこまで重視されない ②草本性なので毎年新しく植える必要性がなく進化が促進されない
というのが面白かった。
紙幅の多くは世界各国のトウガラシの利用を地域ごとに紹介していく形式になっている。
砂糖やじゃがいも程世界史に影響を及ぼしているわけではないので、世界史というよりは文化史と言った方が近い気もするが、ともかくトウガラシを野菜としてそのまま食べる地域があったりと面白い話がたっぷりあり一読の価値ありだ。
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2024年1月
国立民族学博物館のミュージアムショップで発見し面白そうだと思ったので購入!
1章、2章は生物学寄りの内容で、3章以降は食文化に焦点を当てた民族学寄りの内容でした。
トウガラシという存在が食文化を大きく変えたというのはすごい 辛い料理、好きだから、日本がトウガラシを食文化として受け入れてくれたことに感謝^_^
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韓国といえばキムチ?四川と言えば辛い料理?なんて連想してました。歴史から見るとこんなイメージはごく最近の話とわかりました。トウガラシは南米産でコロンブスの大陸発見で世界デビューしたとは意外でした。
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原産地中南米からヨーロッパ、アフリカ、アジアへの伝播、変遷。野生種は小さく、下向き、辛いー身を守る為。栽培種は上向き,色もいろいろ。鳥は辛さを感じない野生種は繁殖ができるのだ。
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サブタイトルは辛くて熱い「食卓革命」というように、唐辛子は世界の料理に新たな「革命」をもたらしたといっても過言ではない。唐辛子はもともと中南米原産だったのが、大航海時代にヨーロッパ人によっていろいろなところに伝わるようになった。
トウガラシ好きのチベット人と書かれているのを見てびっくりした。チベット料理に詳しくないが、それでも辛いものを好んで食べるイメージがなかったので意外だ。いろいろな料理にトウガラシを使っている。
トウガラシを食べることをアメリカのローズンという研究者の説明を引用している。唐辛子を食べるのはジェットコースターに乗るのと同じで、スリルと快楽を味わっているという趣旨のことを述べている。
一言でいえば、怖いもの見たさとやめられない止まらないだな。
トウガラシを手にした人類は、トウガラシの辛さを知ってしまいトウガラシから離れられなくなってしまった。
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トウガラシが原産地の中南米から世界各地へどのように伝播していったか、そして各地ではどのように使用されているかをまとめた本。
おもしろかったのは、鳥以外の自然界の動物はトウガラシの辛みを恐れて寄り付かないが、鳥だけはトウガラシの辛みに無感覚で、平気でついばむので、必然的に広範囲に種をまくことができるようになっている。加えて、動物のフンに入っているトウガラシの種はほとんど発芽しないのに対して、鳥からのそれは発芽率が高い、という点だった。
また、野生種のトウガラシはその赤い実が空に向かって生るので、鳥に容易に発見してもらえるようになっている点も興味深い。
これらは、明らかにトウガラシが子孫繁栄のため、意図的に鳥を利用していると思われる。
やはり、植物にも知性があるとの説は本当だと思った箇所であった。
いずれにせよ、激辛好きには必読の書。
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トウガラシは中南米発祥の植物である。しかも欧州に伝わったのはコロンブス以降である。にも関わらず、わずか400年程度でほぼ世界中に広まり、その各所で日々の生活に欠かせない調味料もしくは食材として大きな顔をしている。その謎を開かす本。
なのだけど、伝搬についてまだまだ不明点が多いような、なんだか隔靴掻痒的な読後印象が残る。特に日本での使われ方について、胡椒とトウガラシを混同して呼んでいる時期があるにも関わらず「うどんに胡椒と書いてあるのでこのころはトウガラシを使っていなかったようだ」と書いていたりするのがなんだか根拠薄弱に感じた。面白い本なんだけどなあ。
あとは知らなかったことをトピック的に挙げておく。
・パプリカはハンガリーで作られた。ビタミンCはパプリカに非常に多く(オレンジやレモンの5倍以上)含まれ、単離に成功したのはパプリカからだった。
・中国料理ではトウガラシがあまり使われていない。四川料理の、しかもほんの一部だけ。「トウガラシを食べると病気になる」という偏見があったらしい(欧州でも新大陸の食べ物への偏見は強かったとか)。
・韓国では、秀吉の朝鮮出兵後ぐらいにトウガラシが伝わったらしいので日本から伝わった可能性が高い。一方日本では逆に朝鮮出兵のときに朝鮮からトウガラシが伝わったので「かうらい胡椒(貝原益軒「花譜」)」と呼ぶ、との話もある。どっちだ。
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トウガラシ、まさにパスタの「ペペロンチーノ」が「トウガラシ」、その唐辛子をコロンブスやヴァスコ・ダ・ガマの時代、中南米から世界に拡散することとなった。16世紀以降のことだ。
唐辛子の辛味はもちろん、風味が好まれたとのこと。だが、唐辛子の風味を楽しんだことがあるだろうか、記憶がない。本著に出会ったことをきっかけに唐辛子の風味を体験したくなった。
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世界各国のトウガラシ利用の歴史、トウガラシを使った料理などを紹介している本です。
トウガラシを使った料理を食べたくなる、自分の嗜好を増やしてくれるいい本。
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唐辛子が世界中でどのように広まり、使われているか書いた本。章を時代で区切るのではなく、国・地域で分けているのが特徴的。この手のスパイスの歴史本だと西洋からの視点に偏りがちであるが、この本では世界をまんべんなく取り上げる。
唐辛子は中南米が原産であり、ユーラシア大陸にもたらされたのはコロンブス以降である。にも関わらず世界各地の民族料理で、さも昔からあったかのように使われている。辛味は甘味や酸味などとは違い、その本質は痛みである。そんな痛みが世界各国で求められているのだから、人類の本質はマゾなのかもしれない。
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案の定辛いものが食べたくなりました(笑
民族学者さんが、以前専攻していた植物学の知識を使いながら、トウガラシの性質や、それが世界各地でどう使われているかを纏めた本。
タイトルは「トウガラシの世界史」となっていますが、読後感としては「世界のトウガラシ」かなぁ。。(「○○の世界史」と題した本が中公新書から何冊か出ているので、それに合わせたせいか)
もともとトウガラシ自体は鳥向け(鳥は辛さを感じないとか!)に果実をつけていたという話や、大航海時代をきっかけに中南米から世界各地に広まった(トウガラシを使ったキムチも1700年代からのもの)という話など、興味深い話がちょこちょこ出てきます。口絵や本文中の写真・地図等が多いのも好感。
学者さんらしく誠実な物言いで書かれているのですが、トウガラシの伝来ルートの推測などはノンフィクション・ライターであればもうちょっと突っ込んで調べたり、ストーリー感を盛ってドラマチックに書けたりするだろうなぁと思ったので、ちょっと勿体ないなぁという感覚は持ちました。
とは言え、辛いものと本が好きなら読んで満足するのは間違いないのでは。終章のトウガラシから得られる栄養のくだりも良い読後感をもたらしてくれます。