あらすじ
イギリス郊外に静かに佇む古い貴族屋敷に、両親と死別し身を寄せている眉目秀麗な兄と妹。物語の語り手である若い女「私」は二人の伯父に家庭教師として雇われた。私は兄妹を悪の世界に引きずりこもうとする幽霊を目撃するのだが、幽霊はほかの誰にも見られることがない。本当に幽霊は存在するのか? 私こそ幽霊なのではないのか? 精緻で耽美な謎が謎を呼ぶ、現代のホラー小説の先駆的な名著。
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Posted by ブクログ
誰が悪いのか??? 最後まで読み、あとがきを読み、少しして結末を読み直し落ち着いた。こどもは餓鬼ともいうほど残酷なところがある。大人の裏をかくこともあるし残酷なこともする。だからどうやって子供たちが幽霊を演出し、仕掛けたのかを考えながら読んでいたから裏切られた気持ち。だからかな、読み終わった後に、なぜ伯父は?なぜ退学に?なぜクロース?なぜジェセル??となってくる。この余韻が名作なのかなぁ?長く楽しめるお買い得な本。
Posted by ブクログ
新訳ということで、読みやすくなった(わかるようになった)と期待していたんですけど……
しょっぱなから延々4行にわたって続く一つの文に(しかも続けて2文章)、思わずうめいちゃいました(笑)
いや、その後はそれほど長い文章はなかったんですけど、まあ、それでも読みづらい、読みづらい。
ただ、それは訳のせいでなくて、作者の地の文章がそうだから仕方ないんでしょう(たぶん)。
(ただ、訳はかなりこなれた日本語になっているように感じます)
訳者のあとがきを見ると、ヘンリー・ジェイムスという人の文章はわかりづらいということですが、この『ねじの回転』については、わざとわかりづらく書いている面もあるのかなーと。
つまり、幽霊は出たのか?出ないのか?ではなく、出たとも出ないとも読めるように書いたんじゃないですかね。
『ねじの回転』は10年前に創元文庫のものを読んだことがあるのですが、その時はそんな風には思わず、たんに「結局どういうことだったんだろう?」で終わってしまったんです。
でも、この新潮文庫のものは、なんとなくでも「もしかしたら、そういうこと?」となったんで、そういう意味ではこっちの方がいいのかなー。
ただ、創元版の方が、読んでいて情景が浮かんだような気がするんですよね(ただし、10年前の記憶なのでソート―いい加減w)。
なんと言っても、創元版は冒頭の一文が4行に渡ってないから、とっつきはいいし(笑)
まあ、幽霊は出た?出ない?じゃないですけど、どっちがいい/よくないは人それぞれなんでしょうね。
しかし、語り手のマイルズに対する、最初の萌えぇぇ~っぷりと終盤の怒りからくる嫌悪の落差。
「かわいい」というのはポジティブな感情である一方で、それはあくまで対象が自分の意に逆らわない、自分の興を削がないと感じた時の感情で。実は、身勝手に一方的に押し付ける、かなり“黒い”感情でもあるんだなーと思っちゃいました(笑)
で、結局どうだったのか?というのは、この訳を読んでもわからないですね。
というのは、終わりがかなり唐突に来るというのもあって。結局「え?どういうこと!?」になってしまうんですよね。
というか、読者がそうなるように書かれているんじゃないでしょうか(?)
そこいくと訳者はさすがで、何がどうなったのか?をわかっているようで、あとがきで「やっぱりそういうこと?」と読者がおぼろげに想像できるように書いてくれています。
ただ、あくまでそれは訳者の見解であって。何が起きたのか、起きていたのかは、オバケは出た?出ない?を含め、正解なんてものはなく、読んだ人がそれぞれ思ったストーリーでいいんじゃないですかね。
(訳者もそんなようなことを書いていますし)
正解(?)という意味では、訳者があとがきで、「…成就しない恋愛感情を、〇〇を可愛がる職務で代償して…虐待に行き着くのと、どっち(前任者と語り手の家庭教師)が醜悪だったのだろう」書いていましたけど。
その前任者の不義のエピソードをこの小説の「答え」代わりに、誰でもいいから書いてくれないかと切望します
(それでも、その作家の解釈でしかないわけですけどね)。
Posted by ブクログ
幽霊の存在の有無が明かされないだけでなく、「私」の兄妹への愛情や「私が守らなければならない」という責任感は異常とも言え、客観的に見ると思い込みが激しく奇怪な言動が多い人物に"あえて"描いているように思える。
原作者自身が意図的にぼかしたり婉曲表現を多用しているため、とにかく文章や言い回しに不自然な部分が多く、翻訳に相当苦労したのがすぐに伺える。
翻訳者もあとがきで触れており、この点も評価を落としているポイントか。
だが、『「私」の友人のダグラスの妹のかつての家庭教師だった女性の手記を怪談話の集まりの中でダグラスが読み上げ、そのダグラスの死後に「私」が改めて書き写した』といつ複雑すぎる構成が、信頼できない語り手として非常に効果的で作品の雰囲気は抜群。
Posted by ブクログ
前々から気になってた本。
全体的によくわからない。文章が…。すごい遠回しで指輪物語読んでるみたいだった。
終盤まで、家庭教師の人しかみえてなくて、子供がかわいいから過剰に反応したのかなと思ったんですが、最後にマイルズがクイントの名前を言ったので子供も知ってて、家庭教師の女の人が言ってることが本当なんだ?でも男の子死んだよね?最初に語ってたのは何者??となりました。これがホラーか…と。訳者のあとがきや他の人のレビュー読んでよく分からなかったの私だけでないと知って安心しました。
Posted by ブクログ
難解な本だった。
全て家庭教師視点で書かれているから、何が本当のことなのやら
家庭教師にしか幽霊が見えていなかったとしたら、彼女が経験した恐怖と孤独感はかなりのもの
もし幽霊が家庭教師の妄想だったら、家庭教師の恐怖よりも周辺の人が感じた恐怖の方が強烈かもしれない
幽霊も怖いが幽霊がいると1人騒ぎ立てる家庭教師の方がもっと怖い
私にはフローラとマイルズが理想の子供でなくなったから追い出したり、(私の理想の)マイルズは死んだみたいな表現したりと、身勝手な振る舞いをしてるように感じてしまう
どう解釈すればいいのか
Posted by ブクログ
読みやすいのだが、とても難しい話だった。結局、幽霊はいたのかいないのか。子どもたちは無垢だったのか邪悪だったのか。
いろんな解釈ができるホラー。訳者あとがきがとても興味深かった。幽霊が見えていたとしても見えていなかったとしても、子どもたちや屋敷を支配したい(それは最終的に雇い主であるこどもたちの叔父に認めてもらうこと)という主人公の奥底の願望から、幽霊を無意識に利用していたのではないかという推測はおもしろかった。