あらすじ
花のお江戸の吉原廓
紅殻格子に囃子唄
嘘で築いた蜃気楼
女を捨てて、女を売って
明日は知らない
人形暮らし
生きた屍が艶やかに
主さまと命と涙ぐむ
夜半の月に
見る顔は
花魁化粧の
夜叉顏か
ここは地獄の一丁目……
女仕掛人が無礼討ちで悪を断つ、問答無用に悪を懲らす痛快時代劇!!電子書籍版限定!!当時のエピソードを綴った木村知夫肉筆のあとがき付き!!
感情タグBEST3
地獄の一丁目
吉原の花魁が仕掛人として悪を討つお話の上巻。
主人公の彩乃は吉原でも位の高い太夫という花魁。
彼女を求める客は絶えない。
吉原というだけあって華やかだが客に見えないところでは女同士のいさかいやひどい目にあって命を絶つ女など暗い面も持ち合わせていた。
太夫である彼女は客を取りつつ花魁同士の仲裁などもやるいろんな人の橋渡しのような役割りもしていた。
そんな彼女が目をつぶれないくらいの事が起きると仕掛人としてその相手を討つということもしていた。
その成敗相手は旗本の男だったり御家人の生まれの男だったりいろいろいるが、とにかく共通しているのは花魁たちを見下していてその命の重さを何も感じていない者ばかり。
吉原の女たちが流した涙のために人ではなく夜叉として男たちを地獄に連れていく彩乃。
むしろ道連れといってもいいくらいの覚悟が彼女の中にあるのがわかるだけに読んでいて悲しくなった。