あらすじ
えびの天ぷらでうまいのは尻っぽ、鮭は頭、牛は舌。釣った岩魚の臓物を洗って串にさし、川べりで見つけた小さな山椒魚を丸飲みし……。詩作のかたわら居酒屋を開き、自ら酒の肴を調理してきた著者による、野性味あふれる異色の食随筆。挿画・牧野伊三夫
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Posted by ブクログ
気楽に読める料理随筆。編集付記にあるように、同じ話が繰り返し語られたりするけれど、居酒屋で(ああ、あの人、またこの間と同じ話しているな)と思うような感じであり、気にならない。酒の肴を自分で作る。独酌だけでなく、自ら居酒屋やバアまで経営してしまう。作る料理の材料は、海や山で摘んできた山菜だったり、払い下げられた臓物だったり。一人で飲むときは、知らない客に話しかけないこと、飲み食いが中心であることを忘れないことと説く「居酒屋でのエチケット」(pp131-135)と、敗戦後疎開地で死んだ母親の食に対する渇望と、その果てのせつない行動が書かれた「母の舌」(pp206-209)がいい。
Posted by ブクログ
『わが酒』の章を読んでいると、ただただなんて破滅的な人なんだと衝撃を受ける。
書名通りの内容なのだが、酒のインパクトが想像以上に強すぎる。
酒菜は、つまやかなものが多分にあれど、素材を生かす、素材自体を楽しむことをごく自然にされ、それを楽しげに見せてくれる。
じっくり読むよりか、電車やトイレ休憩といった隙間時間でサラッと読むのがしっくり来る。