あらすじ
父を知らずに育った智朗は、たった一人の家族だった母を亡くして伯父の家に引き取られた。けれど頑固な伯父とは衝突してばかりのうえ、従兄の克巳からは屈託もなく言い寄られ、智朗は早くこの家を出て独り立ちしたいと思っていた。ところが、心臓の病にも負けず明るく見えた克巳には、実は智朗が思いもよらぬような秘密があり……。きみを守りたい、そして癒したい??あの名作が、書き下ろし短篇とともに甦る!!
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Posted by ブクログ
業の深い愛の深いお話。
この作者さんのお話は、いつも胸がぎゅっとして切なくなる。
私が持て余してる感情に共鳴して、言葉を与えられる感覚がすごくするので、胸が苦しくなります。
今回の話はたった一人の家族だった母親を亡くして、ほとんど会ったこともないおじに引き取られた智朗と従兄の克巳の話。
おじに引き取られても、なかなか素直になれなくてぶつかってしまう智朗。
対照的に、持病があるにも関わらず、明るくて人気者の克巳。そんな克巳には、智朗が考えもしなかった秘密があって……という話でした。
とにもかくにも切ない。
こんなにも一生懸命に必死なのに、なんというか、所詮高校生の悪あがきでしかなかったのだな、と突きつけられる現実が苦しい。子供の一生なんて、必死なんて、これから広がる世界の中ではちっぽけなものっていうのを突きつけられる。
だけどそこには愛情があって、その上での救いがある。
そんな苦くて甘いお話です。
心の中の子供を殺せてない大人にオススメします。