あらすじ
笑いを求めて三千里。故郷オーストラリアから日本で芸人になるためにやってきた若者が飛びこんだのは、世にも稀なる芸道だった! 不自由にも見える芸人の上下関係の秘密から、「ツッコミ」「どつき」「ひな壇トーク」などの特殊性、そして“笑い”を翻訳して海外に届けることの難しさまで。苦節20年、お笑い界の荒波を生き抜いてきた外国人漫才師が、日本のお笑いの本領と秘めたる可能性をしゃべり倒す!
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Posted by ブクログ
読み易すぎて逆に評価を落としている気がするのですが、日本のお笑いを海外と比較し、とても客観的に分析されてるめちゃめちゃ良い本だと思いました。
著者本人が邦画の英語字幕作家で、そういった経験が作用してか、著者が背景にある文化や人種間の笑いの違いにとても敏感なことがよく分かります。
私はコメディの歴史に詳しくありませんが、著者の出身であるオーストラリアだけではなく様々な国のコメディや文化と比較しながら、日本のお笑いが語られるのを読むのは初めてで知らないことばかり。とても面白かったです。あるあるネタが日本独特の文化で共感がベースにあるとの考察は鋭いなあと感心しました。日本のアイドルがパフォーマンスに特化しない理由もこれで説明できるんじゃないかと思えるほどです。
あと巻末にある"ウケたくて一生懸命、日本語を勉強したけれど、結局カタコトで必死にやっていた時の方がウケた気がする"は至言だと思います。芸事にしろ趣味にしろ仕事にしろ、小慣れたくらいが他人から見ると一番雑味がなくて面白くなかったり、ちょっと小賢しくてみっともなかったりすることは往々にしてありますしね。。
Posted by ブクログ
日本のお笑いを理解して他国にも理解できるように、
かつ日本のお笑いを消さずに翻訳できるチャドさん凄いなと思う。
できる人がもっと増えると良いなと思う。
この本が英語版で漫画化されると広く日本のお笑いが知れて面白そう。
あと火花の最初の翻訳版も見てみたいと思った。
Posted by ブクログ
芸歴20年ということだけどお笑いとか見ないせいかまったく知らない芸人さん。ネットで検索するとお笑いの翻訳で活躍しているみたい。プラスワンがあってこそ活躍の場が広がる。日本と海外のお笑いのそれぞれの特徴、違いについては初めて知った内容が多く興味深かった。やはり国ごとに国民性というのがあって、文化はその上に成り立っている。
Posted by ブクログ
オーストラリア人から見た日本のお笑い、
生まれ育った英語圏の笑いを知り、
日本のお笑い文化を直に体得している著者だから
書ける文化のお笑い文化の違いや、
日本の強みなど読んでて興味深かった。
民俗学として、授業の一つになってもおもしろいのではないかと思った。
講義名は「お笑い文化人類化学」だろうか。
あたまに「お笑い」とつけると、すごくうさんくさくなるw
Posted by ブクログ
チャドさんの人生を語りながら、その中で感じた日本のお笑いについてをさまざまな視点で語っており面白い。
お笑い芸人の成り上がり方が書かれてるだけでなく、そこに海外比較の視点や、お笑いの先輩と海外(や英語)との関わりも書かれていて、二重に面白い。
海外と比較したときに、こんなに多くの視点があるのかという驚きもあった。それを無意識に生きてるのだなぁと。
・ツッコミは日本にしかない
・お笑いのジャンルが細分化している
・バラエティという特殊な場
・否定(ツッコミ)の文化
・共通認識が大きい日本だからこそ成立するあるあるネタ(人種が多様だと成り立たない)
・締めの一言の文化
などなど。
それと、翻訳の難しさと奥深さ。
ただの英訳ではなく、お笑いのニュアンスや間を伝えてちゃんと笑いに昇華させるテクニック。培ってきた独自のスキルと経験がまさに活かされてるのが、すごくいいなと。
Posted by ブクログ
外国人芸人の目から見た日本のお笑いシーン。
日本の文化の中で育ったわけでなく、それでいながらお笑いの当事者が語るからこそ、一定の距離間をもって冷静に分析できていると思った。
いちばん日本的なネタはあるあるネタなのだそう。
日本独自のお笑い文化が成立しているのは、国民の均質性もあると分析。多様性が叫ばれるなか、「あるあるネタ」が通用するくらいの認識がを多くの国民全体に共有されている。