【感想・ネタバレ】マノン・レスコーのレビュー

あらすじ

将来を嘱望された良家の子弟デ・グリュは、街で出会った美少女マノンに心奪われ、大都市パリへの駆け落ちを決意する。夫婦同然の新たな生活は愛に満ちていたが、マノンが他の男と通じていると知り……引き離されるたびに愛を確かめあいながらも、破滅の道を歩んでしまう二人を描いた不滅の恋愛悲劇。待望の新訳!

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

語り手の私が観たマノンの様子は、上流の令嬢にも見え、慎み深い心の持ち主に見えたというので、その後に書かれているアメリカに送られることになるまでの行動からイメージする奔放な様子とはイメージが違い、頭の中で描く姿が定まりません。

シュヴァリエのことを愛してはいるように思えるときもあるのですが、いやいや、その行動は無いでしょう、何を考えているの?本当に愛しているの?と言いたくなる。シュヴァリエが気づいているように、単に「楽しみ」を「享楽」を求めているだけで、それは「愛」を超えているように思える。愛が根底にあれば裏切り、それも楽しみや享楽を求めた裏切りを許せるものなのか?裏切る人間に愛があるのか?本当にそれは愛なのか?読んでいて、マノンがシュヴァリエをアメリカに渡るまでの間にも、本当に愛していたのか、愛しているという言動をしても、なかなかそうだとは思えませんでした。最終的にアメリカにまで付いてきてくれたシュヴァリエのことを、それ以降は本当に愛していたのかもしれないとは思うのですが。

そもそも「愛」とは何か、「好き」「恋」との違いは何か?とも思います。シュヴァリエのことを「好き」ではいたのでしょう。「好き」を「楽しみ」「享楽」が上回るというと不謹慎さがありますが、現代に置き換えて「仕事」ややりたいことが「好き」を上回る、結果、愛や結婚をあきらめるというように考えれば、ありなのでは。

楽しみたいという気持ちは責められないもので、それは現代でもある。ましてや、当時は女性が自分のしたいことをやれるような方法は全然ほぼ無かったわけで、そう思うとマノンの行動が前回読んだ時よりも、仕方ないかと思えてきました。出身が決して恵まれていないのに本も読み詩も読み、色々世界について知ってくると、その世界に近づきたい、出身の層で一般的とされている在り方で終わりたくないという気持ちが生まれるのは、ありえるようにも思えました。その結果、とる行動は反社会的で、遵法意識が無いようにも思いましたが。

そもそも、小説の形がシュバリエの話を基に書いたという形で、あくまで男側の一人称、主観で語られる世界なので、そのフィルターを通してしかマノンを語られておらず、マノンの真意がわからないですし。
椿姫と比較して、椿姫のような純愛ではないと考えられるのかもしれませんが、むしろ椿姫より本当の本物の人間らしい、椿姫は想像上の理想化された純愛だとも今回読み直して思いました。
アメリカに渡ってからマノンの気持ちに変化があったのか、わからないのですが、いずれにしても読み物としては、アメリカに行ってからのマノンでなく、堂々と楽しみを求めるマノン。マノンに振り回され、考えがふり幅大きく変わっているシュヴァリエの辺りの方が読んでいて面白かったとも思います。

もう一つ、今回再読して、ティベルジュの献身、友情部分に非常にワクワク、惹かれて読みました。これはもう友情というより愛、ティベルジュがマノンに会った時の様子が知りたい。

0
2021年04月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

悪女の話だというくらいの知識しかない状態で読み始めました。

もっと高尚な感じなのかなと思いきや、語り手のデ・グリュが正しく恋に狂っていてまったく落ち着いていないので(笑)そりゃ恋に堕ちたら冷静ではいられないよね……と勝手に納得。

マノンはもっと計算高い感じなのかと思っていましたが奔放で天真爛漫で自由でなんだか憎めない魅力があります。
弄んでやろうと思ってやっているのではなくてその時の自分の気持ちに正直なだけというか。
若さもあるんでしょうね。

計算高いという点ではデ・グリュの方が悪に染まっているような……
あなたが悪いんですよとか言いながら門番を撃ち殺したり。それに良心の呵責を感じるどころかさっさと次の計画を練っていたり、人心掌握に長けていたり。全部マノンのためなんですけどね。

流刑先で平和な生活が手に入ったかと思いきや、マノンの美貌のせいでまたいざこざが起こり最終的にマノンは衰弱死。

デ・グリュは嘆き悲しみ熱も出しますがラストでは特にマノンの話も出ず、兄のところに戻ってなんだかんだ元々描いていた人生に戻るんだろうな、と思わせるどこか虚しい終わり方でした。

0
2024年10月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

フランス人、すごい。ディベルジュ!何回助けたんだろう?でも結局そうなるのかなんてこった。放蕩な女は、死に放蕩な男は助かる。男の描いた物語だな。

0
2025年05月09日

「小説」ランキング