【感想・ネタバレ】貧困と地域 あいりん地区から見る高齢化と孤立死のレビュー

あらすじ

「日雇労働者の町」と呼ばれ、高度経済成長期に頻発した暴動で注目を集めた大阪のあいりん地区(釜ヶ崎)。現在は高齢化が進むなか、「福祉の町」として知られる。劣悪な住環境、生活保護受給者の増加、社会的孤立の広がり、身寄りのない最期など、このエリアが直面している課題は、全国の地域社会にとっても他人事ではない。本書は、貧困の地域集中とその対策を追った著者による現代のコミュニティ論である。

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Posted by ブクログ

初めて足を踏み入れた時、頭をよぎった疑問ーなぜこのような街なのか、行政は何をしているのかーへの答えを知るために手に取った本。

複合スラムから高度経済成長期に伴いドヤの街になり、バブル期には賑わうもバブル崩壊の煽りを最もナイーブに受けて福祉の街へという歴史がよく分かった。

そして、貧困を一つの地域に止めることによるメリット(セーフティネットを重点的に充てやすい)とデメリット(差別などで再チャレンジが難しくなる)も理解した。

財政が厳しい大阪市が生活保護を無制限に支給できるわけではない。匿名性が高く訳ありの人々にとっては過ごしやすい地域であるあいりん地区に生活保護者が流入する状況は全く好ましくないが、再開発で駆逐してはいけない(地価が上がればこの人たちは路頭に迷う)。

今の貧困者に再チャレンジと福祉を当てがいつつ、少しずつ変化を加えていく長期的な政策が行政に求められていると思った。

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2020年07月06日

Posted by ブクログ

釜ヶ崎(あいりん地区)の今日までの歴史、出来事を、日本社会のそれと照らし合わせて解説されている。
地域としての釜ヶ崎、あいりん地区(行政によって作られた地域)がどうして生まれたのか、政策によって、振り回される人々。
福祉制度にも労働政策にも乗っかることができない狭間の人々、セーフティネットとしての民間活動があるが、そこには質の保障や法による統制ができないことがあったりする。
結局、不利益を被るのはそこに住む一人ひとりの住民。

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2018年04月15日

Posted by ブクログ

一人旅で西成区に寄ったことがあり、あいりん地区で暮らす人に興味があった。
どのような人がいて、行政はどんな支援を行なっているのか、歴史も交えて知れた。

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2025年04月29日

Posted by ブクログ

大阪の西成区、あいりん地区の歴史、社会保障のあり方、様々な論点で論じている。
家族単位のスラム街から、バブル期の日雇い労働者としての街、バブル崩壊後のホームレス化、2000年代の生活保護への移行。

サポーティブハウス スタッフが無償で生活のサポートをしている。専門職ではない。公費の補助が進みにくい
貧困ビジネスとの線引きが難しい。

現在は、確か星野グループがホテル建てたり、外国からの宿泊客が安宿を求めて来たりと、色々変換期か。
売春も淘汰されて、住み良い街になるといいが、なにせ昔を知っている人は地価が安くても絶対住みたくない場所だろうなぁ。

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2022年02月04日

Posted by ブクログ

大阪のあいりん地区について、その歴史からセーフティネット、再開発計画等まで丁寧な調査に基づいて詳述している一冊。耳にしたことはあっても、その背景等については無知だったので大変興味深かった。

貧困地域というイメージが強いあいりん地区だが、反面多層的なセーフティネットがあり、貧困者への福祉という意味では先進地域といえる。これから全国の他地域にも大変参考になると思う。

現在進行中の西成地区再開発によって、今後社会的弱者の方はどのようになるのか、注視していきたい。

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2019年01月11日

Posted by ブクログ

かつて釜ヶ﨑、今はあいりんと呼ばれる日本有数の貧困地区を、これまでの歴史や改善に向けた取り組みを通じて、赤裸々に明らかにした一冊。
日頃、貧困と向き合うかかわりをしていますが、貧困に陥ったのではなく生まれながらの貧困というべき人たちを支援するというのでは別次元の違いがあると思うだけに、これからどのような対策を打ち出すのか、注目していきたいと思います。

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2018年02月08日

Posted by ブクログ

自身が活動する地域にも少なからず貧困層がいるが、アウトリーチを拒み続ける方も多い...。関係づくりを地道にやるしかないなぁ...。

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2018年12月25日

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