あらすじ
出会いと別れ、ときどき新発見!
驚きと感動に満ちた、その舞台裏。
パンダの出産に徹夜で立会い、
逃げ出したカモシカを職員総出で捕獲、
忍び込んだ野犬を退治、
ゴリラの顔色を読んでゴマをする、
産まれたての卵を割ろうとするカラスと闘う……
飼育係をはじめとする動物園のスタッフたちは、
毎日、動物たちに振り回されながら、数多くの出会いと別れを繰り替えし、
試行錯誤を重ねている。
動物たちの環境を整える飼育係とは、
動物にとって、存在自体が「生存環境」であり、生命線なのだ。
動物園の役割は時代とともに変わり続ける。
ときには外交のためにパンダやゾウが贈られ、
現在は希少動物を繁殖するための「種の保存」を担った。
進化し続ける動物園で40年間働き、
都内3園の園長を務めた「動物園博士」が語る、
動物園のいままでとこれから。
【電子書籍版のみカラー写真掲載】
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Posted by ブクログ
素晴らしい本だった。上野動物園の元園長、飼育に40年携わった著者の自伝であり動物園の舞台裏が満載だった。中でもノウサギの飼育や安い動物の飼育で得られた経験や、トキから始まった人工飼料作り(ペレット)の誕生は何度も何度も読んでしまった。動物福祉を考えながら、見に来たお客さんを喜ばせ、種も保全する役割を持つ動物園の飼育員。なんて途方もなく責任が重い仕事なのか。でも動物に接することが何よりの喜びなんだと本を読み進めていってずっと感じていた。動物に携わる仕事を目指す若い人たちにもおすすめの本である。
Posted by ブクログ
上野動物園の園長を務めあげた著者から見た動物園のいろんな取り組みや動物たちとの奮闘や楽しみや日常。
こういう現場の方の記録を読むと、大好きな動物の事を日々考える現場にいらっしゃる事が羨ましくなるなぁ(^^)。
井の頭公園から鯉がいなくなったほんとの理由。
矢ガモの捕獲劇。
ウサギって飛び跳ねるのが好きなわけじゃないんだ?!
花形動物ではない地味な動物たちの日々の暮らし。
動物を愛し、現実を見つめ、未来を創っていこうとする動物園のスタッフのかたがた。
大好きな動物が死ぬのを見るのが嫌だから…と動物の仕事を選ばなかった私は後悔しかないなぁ〜。
動物好きには知識としても楽しい本。
動物園に行きたくなる本。
Posted by ブクログ
<目次>
第1章 飼育係の仕事(多摩動物公園飼育係時代)
第2章 飼育係長の仕事(上野動物園・井の頭自然文化園飼育係長時代)
第3章 飼育課長の仕事(多摩動物公園・上野動物園飼育課長時代)
第4章 園長の仕事(上野動物園園長時代)
<内容>
ビジネスにするか、自然科学にするか迷った。一応、著者の動物園の仕事を回想録のようにしたもの。なので、「動物園ではたらく」というタイトル通りのところもあるが、一方で従来の「珍しい生き物を陳列する」「可愛らしく見えるように餌付けする」「芸を仕込む」という動物園は過去のもので、「種の保存」であったり、「域外保全」であったり、動物園の仕事が増えたというか、変わったなかで、「パンダ」ばかりが相変わらず話題になるのはどうのか?のような提言もある。多くの飼育の失敗の話もある。今の動物園は、われわれ人間のほうが”展示”され、動物たちのほうが、人間を観覧しているのかもしれない。