【感想・ネタバレ】み仏のかんばせのレビュー

あらすじ

傷を持つ二人が夫婦になるが…感動人情小説。

貧しい小作の娘だった志乃は、女郎になるのが嫌で江戸に出て行き、首切り浅右衛門のもとで松助という名の「男」として仕えることになった。剣術の腕も磨いていたが、ある日浅右衛門家にとって大切な死人の肝を、強盗に奪われてしまう。責任を取って浅右衛門のもとを去り、名前を戻し針売りの娘として生きはじめた志乃。そこに、志乃が憧れていた壮太があらわれた。「男」として介錯を仕事としてきた志乃はまともな幸せなど考えていなかったが、お互いの気持ちを確かめて、夫婦になった二人。
しかし、壮太にも隠された過去があった――。志乃が奪われた死人の肝を盗んだのが、壮太達だったのだ。そして、仲間の男だった沖次が凶暴になって、江戸の町を震撼させていたのだ。壮太は、沖次と決着を付けようと出かけていく。それを追って、刀を持った志乃が追いかけていく。果たして決着は!?(第一部 「月明かりの面影」)
第二部では、夫婦のその後と沖次の子供が絡んでいく。(「裏庭の陽だまり」)
ささやかな幸せを願う市井の女性が懸命に生きる姿を描いた人情小説。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

女衒に手込めにされ逃げ出し、男として首切り役人の家で中間奉公する志乃。ある夜、盗賊に襲われ大切な物を奪われてしまい、主に迷惑がかかることを恐れ奉公を辞して、女として針売りになり生きていくことにします。女としての幸せを望むべくもない志乃でしたが、密かに憧れていた壮太が同じ長屋に越してきて…、という話。
 安住さんの静かな筆致の中に志乃の凛とした姿が浮かび上がってきます。辛い過去を背負いながらも何とか生きていこうとする志乃が壮太に出会い、幸せを感じる生活を送ることが出来て本当に良かったと思います。
そして壮太もまた、何やら暗い影を背負っていました。彼にとっても志乃は、辛いことにも負けず懸命に生きていこうとする眩しくも放っておけない存在だったのかもしれません。
子どもにも恵まれ、壮太に看取られ最期を迎えた志乃は幸せだったはず。
静かでしっとりとしたお話でした。安住さんの新作、本当に良かったです。

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2018年05月07日

Posted by ブクログ

鳥羽亮さんとは逆で、なかなか新刊が刊行されない安住洋子さん、「み仏のかんばせ」、2017.12発行、著者の7冊目、デビューが2004年の「しずり雪」、6冊目が2014年の「遥かなる城沼」ですから3年以上の期間をあけての著作ですね。第1部が月明りの面影、第2部が裏庭の陽だまり。首切り役人、山田浅右衛門の元で男(松助)として14歳から24歳の10年間を過ごした志乃という女性の数寄なる生涯を描いた作品です。後に伴侶となる壮太が作品に幅と深みを与えています。読み応えがありました!

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2017年12月28日

Posted by ブクログ

ずっと注目している安住洋子さんの、ようやく出版された新作です。しかし、遅筆ですね。
過酷な過去を持つ壮太と志乃が巡り合い、所帯をもって幸せを得る姿を描いた時代小説。安住さんらしい繊細で良く練られた文体で描かれた二人がお互いを思いやる心や3人の子供の姿がとても心地良い作品です。
難を言うならストーリー展開です。平穏なだけでは物語にならないのですが、とはいえ「闇討ち」や「盗賊団」などの扱いは、壮太/志乃の姿とややかけ離れ過ぎているように思います。もう少し、必然を感じさせる展開なら良かったのですが。

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2018年01月28日

Posted by ブクログ

う~ん、はじめはよかったのです。男として生きていかなくてはならなかった志乃をもっと長く描いてもよかったんじゃないかな。後半はどんどん展開していって、ほとんどあらすじになってしまって、もったいない。一つ一つを短編として丁寧に描いてほしかったな。

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2018年02月04日

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