【感想・ネタバレ】バッド・フェミニストのレビュー

あらすじ

私はピンクの服も着たいし男性も好きなダメ・フェミニスト。でも、矛盾を抱えて完璧ではない自分や他人を受け入れ、分断を乗り越えて差別のない世界を夢見たい。
映画やテレビドラマや音楽などのポップカルチャー、社会に衝撃を与えた犯罪や事件を取りあげ、性差別と人種差別、経済格差などが交差するアメリカの文化状況を鋭く読み解く。

松田青子さん、ジェーン・スーさん推薦!

ユーモアがあって、刺激的で、切実。
彼女の視点を自分の中に蓄えることができるのは、本当に幸せなことだ。
みんなバッド・フェミニストで生きよう
松田青子さん(小説家)

性別によって機会や権利が異なるのはおかしい。だが正直に言えば、私は「フェミニスト」というワードが含まれた著作物にコメントを寄せることにためらいと警戒があった。自分では剥がすことのできないレッテルを貼られるような気がしたから。しかし、好奇心がそれを上回った。「バッド」が付いていたから。
そんな自分を肯定できると前のめりに読んだ序盤、傷付くことを避けて通れなかった中盤、頭と心にたっぷり汗を掻いたあと、穏やかに寄り添えた終盤。まるで旅のようだった。今の私が納得できるもの、そうでないもの。それはやがて変化するかもしれない。いくつかの私の間違いと勘違いは修正され、新しく学んだこともあった。
読後、私はフェミニズムとの断絶を感じたり、自分にその資格があるかと不安を感じたりはしていない。それぞれのやり方で向き合えば良いと、ロクサーヌが教えてくれたからだ。
ジェーン・スーさん(コラムニスト)

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

バッドという言い方は、おそらく、規範的なものであればなんにでも当てはまるのだろうけれど。エコロジスト、丁寧な暮らし、などなど。トランプの混乱の中でこれを読むのは面白い。
人種の話を読むのはしんどい。

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2017年08月27日

Posted by ブクログ

ロクサーヌ・ゲイの名前を気にするようになったのは、数年前から。ときどきニューヨークタイムズでキラリと鋭いコラムを目にすると、それが彼女の筆になるものが多いことに気づき、いつの間にか楽しみにするようになった。
そのゲイの本邦初?翻訳書は、ドラマや小説、映画を縦横無尽に論じたエッセイ集。TV番組ほとんどは知らない作品ばかりだけど、映画はそうそう!てうなずくところがたくさん。特に、『ヘルプ』に対して激しく怒ってる評、自分以外には読んだことなかったので溜飲が降りました!
くだらないポップ・カルチャーへのこよなき愛と鋭いツッコミを楽しみながらも、ゲイは、この社会にあまりにもあたりまえにあふれている女性に対する暴力と黒人に対する暴力を忘れはしない。それは身体に刻まれてきたものだから。わたしたちの愛するポップ・カルチャーは、同時に、女性であったり黒人であったりセクシュアルマイノリティであったりするわたしを疎外し、傷つけもする。だからインターセクショナルなフェミニスト文化批評が必要なのだ。
とはいえ、本書のタイトル「バッド・フェミニスト」にはどうも納得できなかった。だいたい、「私はバッド・フェミニストです」なんて、まるで「善い/正しいフェミニスト」なるものが実在するみたいではないですか。フェミニストに「男嫌いで、セックス嫌いで、怒りと被害者意識でいっぱいのイタい人たち」とレッテルが貼られるのは、わたしたちが自分をとりまく文化の暴力から目を背けないから。であれば、わざわざ「私はバッドなフェミニストです」と名乗って、自分を一般的なフェミニストのイメージから差別化する必要なんかあるだろうかと思うのだけど。
とはいえ鋭い書き手なので、これからも要注目ですよ。

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2017年07月01日

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