あらすじ
イズムの角逐や苛酷な他者攻撃を経験してきた20世紀を経ながら、新世紀の世界は、宗教・民族間問題の先鋭化と同時に、グローバル化による画一化・一元化に直面している。真の相互理解や協調は可能なのか。その鍵となる「文化の多様性」の擁護をめぐって、理念・現状・課題を、文化人類学者としての豊富な経験・観察と共に具体的に説く。
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Posted by ブクログ
2003年の出版の本。
911以降の世界を文化人類学の観点から考える、みたいな感じかな?
大きく2つの部分になっていて、前半は、バーリンの議論を踏まえた文化の多様性と相互理解の可能性みたいな話で、後半は、ジョセフ・ナイの議論を踏まえた文化政策?みたいな話。
前半で紹介されるバーリンの議論がとても面白い。
プラトン的な世界観に基づいて、良かれと思ってやることが、結局のところ、全体主義に行き着いてしまうという構造。それに対抗しうる思想家として、マキャベリがいるという。。。。評判の悪いマキャベリが、なぜか多文化世界につながっているという不思議。
自文化中心主義的で、他者に自分の文化を押し付けようとすることの問題はいうまでもないが(とはいえ、それって今でもたくさんあるんだよね)、文化相対主義も危険性を持っている。
全ての文化が相対的であると、私はこういう文化なんです、という開き直りを生み、それは他の文化への理解を諦めてしまう可能性がある。単純化すると、他の文化で残虐な行為が行われていてもそれはその国の文化だから、という話しにはならないはず。
文化は、相容れない価値を持っていて、大きな統合には向かわない。だが、それでも、文化間での理解を成立させるためにはどうすればいいのか?「唯一の真理」、「正しさ」はないけど、なんらかの人間の「共通感覚」は、あるはず。
そこをなんとかしようという話は、アーレントが政治哲学でやっていることを文化哲学(?)でやっている感じだな。
最近の問題意識にフィットした一冊であった。
ただし、後半のナイの「ソフトパワー」論を踏まえた議論の展開は、そこまで新鮮な感じはしなかったかな。
問題意識はわかるけど、前半に対して、やや集中力が下がる印象を持った。
バーリン、面白そうだな〜。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
イデオロギー対立、少数者への抑圧・攻撃など、苛酷な経験を重ねてきた現代の世界は、宗教・民族問題の先鋭化と同時に、グローバル化に伴う画一化・一元化に直面している。
真の相互理解や協調は可能なのか。
その鍵となる「文化の多様性」の擁護と「文化の力」をめぐって、理念・現状・課題を、文化人類学者としての豊富な経験から説く。
[ 目次 ]
序章 世界は、いま
第1章 文化という課題(文化とは対立するものなのか 宗教・民族の課題 理想の追求)
第2章 文化の力(ソフト・パワーの時代とは 現代都市と文化の力 魅力の追求)
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