あらすじ
団塊の世代が75歳以上となり高齢者のピークを迎える2025年、その15年後に死亡者数がピークの166万人に達する2040年。
高齢者のピークと死亡者数のピークが重なるデュオ・ピークスを迎えた時、あなたは平穏無事な最期を送ることはできるでしょうか?
「私が勤務する金沢市の城北病院には、外来の患者さんが1日400人~500人程度来られます。8割以上は予約の患者さんですが、予約でも外来診察で1時間以上待っていただくことは稀ではありません。また城北病院のベッド稼働率は93%であり、ほぼベッドは埋まった状態です。いつ退院になるかわからない患者さんが多いことからベッド稼働率が93%だと、入院をお断りしなくてはいけない場面もでてきます。また、特別養護老人ホームに入るためには、3年~5年順番待ちと言われていますが、介護職員の給料が安いために、人材不足となり特別養護老人ホームの部屋は空いているのに、入居することができないといった報道がありました。いったい、現場で何が起こっているのでしょうか? デュオ・ピークスを迎えるにあたり病院でなにが起こっているか? 少しでも知っていただければ幸いです」(本文より)
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Posted by ブクログ
団塊の世代が75歳以上になり、高齢者数がピークを迎える2025年、1年間の死亡者数が166万人に達すると予測される2040年を近未来に迎えつつある日本。このふたつの山をどのように乗り越えていくのか、地域に密着して医療活動を続けている「笑って死ねる病院」、城北病院の院長がきわめて平易な語り口で医療や介護、福祉の現状について語る。
第3章の「相談室日誌」では、弱者が困難に直面しながら簡単に命を落としていく姿を見せつけられ、思わず涙してしまう。
話は地域包括ケアシステムや医療費亡国論の亡霊、非正規雇用の問題や健康格差にも進み、著者の言葉を借りると「若い人が健康で働きやすい社会を地道に築いていく政策と高齢者にやさしい環境をつくっていくこと」が大切であることがよく分かります。