【感想・ネタバレ】鍵の掛かった男のレビュー

あらすじ

中之島のホテルで梨田稔(69)が死んだ。警察は自殺と断定。だが同ホテルが定宿の作家・影浦浪子は疑問を持った。彼はスイートに5年住み周囲に愛され2億円預金があった。影浦は死の謎の解明を推理作家の有栖川有栖と友人の火村英生に依頼。が調査は難航。彼の人生の闇で鍵の掛かった状態だった。梨田とは誰か?他殺なら犯人は?驚愕の悲劇的結末!

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

分厚すぎ!と思って読み始めたが、話が進むにつれおもしろくて一気に読んでしまった。見た目通り長いので、散りばめられた伏線は綺麗に回収するし、「鍵の掛かった男」の何重にも掛かった鍵も最後にカチッと回されて開かれる。とてもすっきり。
なので、見た目に反してすぐ読んでしまった。

今回は半分以上アリスの単独捜査で、真実に肉薄していくのがとても良い。いつもは奇想天外なトリックをぽんぽん言って火村にバカにされがちだけど、今回は違う。地味ーな捜査ながら、足を使って様々な人から少しずつ被害者の話を聞き出し、人物像を形作っていく。読者も同じ情報から、大体アリスと同じような結論に至るので読んでいてとてもわくわくした。
そして満を持して火村先生のご登場。
アリスに「お前は本当によく頑張ったよ」と言う火村先生にきゅんときた(笑)
火村先生により、アリスが拾ったパズルのピースがどんどんとはめられていき、最後にかちっと鍵が開いた。
禍福は糾える縄の如し、とは鍵の掛かった男の一生を言ったようなもの。最後は孫を抱いて幸せな気分で逝きたかったろうに。

長い話だけあって、殺人、被害者の人生、そしてホテルへの愛が何重にも絡まったいい話でした。
いつになっても34歳のアリスと火村先生と、大体共有する時事ネタが一緒になってきて違和感(笑)
読み始めたの高校生の頃だったんだけどなぁ…

1
2021年04月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とにかく分厚い力作!
有栖川有栖は、個人的には話もしたことのない大作家・影浦浪子(かげうら なみこ)から、警察が自殺と断定しようとしているある男の死の真相を、火村とともに究明してほしいとの依頼を受ける。
火村は、勤務する大学の入試の監督業務に当たるため、有栖が先行して調査に当たることになった。

半は有栖の地道な聞き込み調査、後半は火村が登場して怒涛の解決編!

梨田稔(なしだ みのる)は、大阪中之島の「銀星ホテル」に5年前から滞在していた。
ホテルで一番良いスイートを利用し、死後に二億円入った預金通帳が発見される。
クレジットカードも携帯電話も持たず、身寄りもなかった。
これだけで、何か身を隠すような訳ありの人物なのだろうと思う。
梨田が自殺でなく他殺であるとすれば、支配人夫妻を含む当日宿泊していた人物たちと従業員が容疑者となる。
すでに警察の聞き込みは済んでいるのだが・・・
常連たちが語る梨田の印象は、生活のほとんどをボランティア活動に費やし、節度を持った人付き合いをする穏やかな人物。
彼らは梨田の自殺の原因を、寂しかったのだろう、孤独だったのだろうと口を揃えて言う。

有栖が話を聞いている間は「家族的なホテルのスタッフと常連さんたち」に思えていた人々が、火村が登場した途端に「容疑者」の顔に見えてくるのが不思議。
しかし、この流れでは他殺なんだろうなと思っても、誰が怪しいのかということさえ全く分からなかった。
ミステリ物の小説やドラマにおいては、こいつはまあ殺されても仕方ないな、むしろ死んでよかったじゃないのなどと思うこともある。
しかし、なんでそんなくだらない理由で殺すの?と思う時、犯人は刑務所から出てまた生きていくのだということがたまらなく理不尽に思えてくるのだ。

梨田稔は、「事故多発型」の人生だった。
その挙げ句の最後には、石ころに蹴つまずいた程度の犯人のくだらない理由で殺されてしまう。
しかし、死後には、救いがあったのだろうか。
少なくとも報いはあったと信じたい。

0
2024年01月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

火村シリーズ、今回はアリスが頑張ってた。
ホテルで亡くなった男は自殺か、他殺か、そこから不明なため男性、梨田さんの生い立ちや、ホテルで過ごした5年など、様々なことを様々なひとから聞くうちに段々と謎の多い梨田さんの人物像がわかっていく。
そして段々と真実に近づいていく様子が、アリスと一緒にこちらも一緒に肉薄している気がして楽しめた。

梨田さんが孫を抱くことを楽しみにしていたのはこちらも目頭が熱くなった。
我が子は抱けなかったけど、孫が抱けるかもしれない、なんて、そんな楽しみで幸せなことはない。
それが叶わなかったのは悲しかった。

犯人の動機はなんとも自己中な気がするけど、人間は多面的な生き物だから。作中でも触れられてたけど、犯人だってその日いろいろな事情が重なって、どうしても快く目の前の老人に席を譲りたくなかったのかもしれない。その行動がまさか、結婚という幸せが手から滑り落ちる原因になるとは思わないだろう。
逆恨みだって言われるだろうけど本人としてはやるせ無いよなあ。

物凄く盛り上がりのある作品ではなかったけど、個人的はとても好きな一作。

火村先生のイケメン設定がなかなかしっくりこない笑

0
2022年05月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

有栖川刑事、大活躍!

久しぶりの火村英生シリーズ。
刊行順に読んでるのだけれど、停滞していた。無性に読みたくなって、購入。
(中山七里先生に影響されて新品を購入した。ページ同士の紙がくっついたりしてて、ぺりぺりページをめくるのもなんだか楽しかった。)

いつもは短編が多く、しかも最初から火村先生が探偵しているパターンが多いけど、今回は長編、かつ、探偵が遅れてやってくる。
とても読み応えがあったし、物語の進み方がゆっくりで、読み進めるのが楽しかった。シリーズの中で一番好きかも。
(探偵は遅れてやってくるシリーズ、アリかも?『謎解きはディナーのあとで』も遅れてやってくるシリーズか。)
好きの理由としては、今回大活躍の有栖川刑事の存在が大きい。
ワトソン役のアリス視点の文章は、いい塩梅に感情的で読者に一番近い温度感だから共感しやすい。物腰柔らかなアリスの性格が好きだから、火村先生不在の中で一人で捜査をする描写は、ゆっくりだけど丁寧で新しかった。
火村先生がいないと捜査の成果は出ないのでは?と思ったけど、そんなことはなく、ちゃんと犯人を追い詰める原因の一つになるのも気持ちがいい。
火村先生不在の間は慎重に捜査していたのに、火村先生が合流してからはいつものとおり突飛な推理を披露し始めて、その対比がなんだか微笑ましかった。

事件多発人生をおくっている人、たしかにいるな。
謎が解明されていく過程は何回読んでも面白い。作者は結末を知っているから、どう情報を出していくのか、の技術が問われるところなんだろうな。出し惜しみする技術。(わたしはすぐに話したくなるからむり!)

小説家:有栖川有栖のことを人嫌いと考察した影浦先生の言葉に、はっとするアリスが面白い。ちょっとした闇がある人って惹き付けられるものがあるよな~。

火村とアリスの二人が揃ったときの会話劇がやはり好き。テンポもいいし、なかなか姿を現さない犯人を黒猫に喩えたり、その場で即座に創られた言語で会話しているところなど、二人の間だけの特別なコミュニケーションが楽しくて、嬉しい。
すごい単純でいまさらなことだけど、どっちが話してる言葉なのかが二人の話し方(ちょっと変な標準語と関西弁)ですぐわかるのも、ストレスなくテンポよく読める理由になってるんだろうな!

次、『狩人の悪夢』。

0
2025年10月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2017年。
タイトルが変。どゆこと? 自殺で処理されたホテル住まいの男。人気作家が、火村の噂をききアリスをご指名。自殺のわけないw。火村は受験シーズンで本業離れられないので、アリスが独自に調査。ホテル関係者にきき、現地へ出かけ、、、、と地味にこつこつ調べる。死んだ男の生前が暴かれ、タイトルの意味がわかる。火村が出てきて、解決するわけだが。最初に死体→生前を調べていくってのがミソかな。
超大作なのだが、犯人の動機がねーw なので星4つ
あいかわらず、火村は殺人者を憎み、無神論者でこの世で犯人が捕まることを望んでいる。

0
2025年05月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「鍵のかかった…」に惹かれて手に取りました。

波乱万丈な梨田さんの人生でしたが、終章では家族や周囲に見届けられ、漸くカコちゃんと再会出来たのかと感じ、泣きそうになりました。
犯人の動機において、本人にとっては重要な事かもしれませんが、どうしても自業自得としか思えませんでしたね。
終盤で探偵と2人の作家が答え合わせをしていく場面がオシャレでお気に入りです…頭が固いので、私は一切推理をせず答えを早く知りたすぎてそのまま読み進めましたが(笑)

なんと、シリーズ作品だったんですね。
他作品も読みます!

0
2021年12月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

(長編)火村&有栖シリーズ23
目次
第一章 ある島民の死
1
2
3
4
5
第二章 その孤愁
1

2
3
4
5
6
第三章 その残影
1
2
3
4
5
6
7
第四章 その原罪
1
2
3
4
5
6
7
8
第五章 その秘密
1
2
3
4
5
6
7
8
9
第六章 その正体
1
2
3
4
5
6
7
8
第七章 その帰還
1
2
3
4
5
6
7
8
9
終章 真相
1
2
3
4
5
6
7
あとがき
文庫版あとがき
解説 中条省平(学習院大学フランス語圏文化学科教授)

0
2024年12月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

火村シリーズだけど異色。

百億円あったらなにをするかの問いに、犯人が答えた<日本中の家に地震対さくをする>という回答にグッとくるものがあった。

0
2021年04月19日

「小説」ランキング