あらすじ
ジャーナリストである著者が中東に20年暮らした視点で、その複雑な歴史の概要を簡潔に解説する一冊。またイラク戦争、アラブの春、シリア内戦の現場に身を置いた実体験から中東各国の思惑と動向をたどり、イスラム国誕生に至るプロセスの本質に迫る。
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Posted by ブクログ
[開けっ放しのパンドラの箱]カイロに下り立って以降,イラク,レバノン,リビア,そしてシリア等で度重なる戦禍を目の当たりにしてきた著者が,自らの取材歴を生々しく綴った作品。著者は,米NBC首席海外特派員を務めるリチャード・エンゲル。訳者は,在米ジャーナリストとしても活躍する冷泉彰彦。原題は,『And Then All Hell Broke Loose: Two Decades in the Middle East』。
実地にしっかりと根を下ろしている一方で,マクロな視点をも加味した記述になっており,中東政治に興味のある方にはぜひオススメしたい作品。また,一級の戦場ジャーナリストが,何を考え,どのように行動するのかについても学べるところは非常に多いかと思います。
〜中東において戦争は,完全な善人と完全な悪人を峻別することが不可能になっている。グレーゾーンというのが当たり前になっているのだ。だが,こうした解説はテレビ向きではなかった。あまりにも複雑で,あまりに自分たちの世界から懸け離れた話だったからだ。要するに,あまりにも中東的な話になっていた。〜
特にシリアのくだりは読み応えがありました☆5つ