あらすじ
戦国の英雄として有名な伊達政宗。彼は、徳川の世になっても、天下取りの野望を捨てず、家臣・支倉常長をヨーロッパに派遣し、ローマ法王の援助を得て、幕府を転覆しようとした――こういう話は昔からあったのですが、定説ではありませんでした。
ところが、これは事実だったのです!!
ヴァティカン機密文書館庁には、カソリック教会にかかわる2000年間の秘密史料が厳重に保管されていますが、その中に、政宗が「カソリック王」に叙任されることを願い出た証拠が、ちゃんと残っていたのです。
では、なぜ、その野望は実現しなかったのか?
歴史好きはご存知のように、政宗は講談などで描かれる豪快な人物なのではなく、じつに細心、もっといえば臆病極まりない男でした。失敗したときに、どうやって言い逃れるかを考えてからではないと行動しないタイプだったのです。
この遣欧使節でも、幕府にバレたときの対応を周到に考えました。自分自身は洗礼を受けず、いざとなったら腹を切らせるため、下級の家臣を遣わしてローマ法王を丸め込もうとしたのです。でも、そんなのうまくいくはずありません。 ローマ法王庁から、「カソリック王にしてくれ、と言いながら、本人がキリシタンじゃないのは、おかしいんじゃないの?」とツッコまれ、支倉たちも、「まー、そーですが、心の中では信仰はあると思うんですよね~」などと、苦しい弁明につとめますが、結局、ローマの返事はノー。政宗の野望は潰えたのです。
筆者は中世のスペイン語、ポルトガル語、スペイン語、ラテン語に精通し、原史料を精緻に翻訳して、この結論にたどり着きました。
戦国ブームの中でも、もっとも人気の高い伊達政宗の人間像ががらっと変わる、画期的な新書です。
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伊達政宗人物像変わった驚愕の書
伊達政宗は派手なパフォーマンスを演じるなど自分を売り出すことに長けた豪快な名演出家であり、天下人を支え、最後は副将軍格として徳川幕府安定化の重責を担った「独眼竜 政宗」と知られる。それが生誕450年にしてその人物像が本書により一変したと言える。
発売当初から各書店で第1位の売行きだったので一読しました。
慶長遣欧使節団の真の目的は、ローマ教皇の力を借りてスペインと軍事同盟を結び、全国30万人以上のキリシタン教徒を使い、徳川幕府を転覆する事であった。伊達政宗は表向きこの慶長遣欧使節団を幕府の共同事業とし、通商目的の為の「訪墨通商使節団」であると見せかけ、本当の理由は隠蔽され、幕府側がメキシコから帰国後、密かにスペイン本国、ローマ教皇謁見迄行なったのである。その方法は実に緻密であり、国内には資料を残さず、ローマ教皇、スペイン国王への嘆願も口頭で行なわせた。但し、幕府に発覚しても謀反の疑いが無いように「キリシタン教徒にはならず」最も卑怯な二股膏薬の方法をとり、ローマ教皇のお墨付き、スペイン国王の軍事同盟は失敗したのであった。
海外のみ現存する一次資料につき、難解極まる古代ロマンス語(ラテン語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語)を理解し、読解する研究者は今迄誰一人もいなかったが、筆者が
50年かけて読解し、真の目的が判ったと同時に伊達政宗の人物像が変わった驚愕の書である。