あらすじ
舞台は埼玉県の、とある芸術大学。
主人公は、デザイン学科2年の吉持 星(よしもち・せい)。
デザインの才能はピカイチ、だけど潔癖症で人嫌い。
もうひとりは、美術学科2年の園部明里(そのべ・あかり)。
芸術的才能はないが、コミュ力と上昇志向の塊。
明里は吉持の才能を目の当たりにし、それに乗っかろうと企むが……。
ヘンな人や、ヘンな人になりたい人が集う芸大で、
ふたりのひねくれた青春グラフィティが始まる!
漫画誌・ハルタで異彩を放つ新鋭・山本和音の初コミックス!
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Posted by ブクログ
いぶし銀な作品が多いハルタの一作。埼玉芸大の物語。潔癖の天才吉持と、意地汚い参謀の園部、二人のペアが芸大で波乱を起こす。
吉持の、デザインのためなら死ねる芸術根性と、園部の小狡い策略で、二人はアートの世界を駆け登っていく。吉持は馬車馬のように働き、見ていて面白いのだが、その馬車馬は根本的な部分が狂っているため、上手く乗り回そうとする園部も見どころ満載である。
『酒もドラッグもいらない 私は創造でトベるんだ!』文化祭の展示は必見。最終的に黒沢と認め合うのもヨシ。
吉持人間関係タルくて失語症つってたのホンマ草。
黒沢かっけー! 『今の俺のようにしたり顔で上からまるで人の人生の行く末を見通したかのようにアドバイスする人間の言葉など聞くな なんの価値もない 捨てろ捨てろ心の彼方に お前の人生は誰かの人生の過去じゃない』
クソモブと思ってた、小川も良い奴。『僕みたいなこの大学ですら何も残せなかった人間がドイツで何ができるんだって 僕自身そう思ってますもん 親 友人 教授 みんなから止められました ただひとり 未来の自分だけが 唯一 自分を信じていて 馬鹿みてえに背中を押すのですよ』
吉持とそのライバルの黒沢。吉持とそのライバルのアルサ。ライバルは主人公たちの持っていないものを持っており、それゆえに反発しながら成長していく。アルサが二人の共依存を壊そうとするのは痛々しくも必要なことだと感じた。
道別れの二人、『またいつか やろう』で伝わる。本当に良い終わり。涙と鳥肌。もう少し二人仕事を見ていたかった。
夢を応援されるような本。本当に好き。芸術大学を描いているからか、背景もとても丁寧。好きです。