あらすじ
「異次元緩和」で大量の国債を買い続け、いまや“超メタボ状態”の日銀。政府の借金を肩代わりする「財政ファイナンス」を実質的に続けてきた結果、国の財政危機は日銀の倒産リスクへと転化してしまった。このままでは円暴落・ハイパーインフレが起きるのは時間の問題だ──。モルガン銀行で「伝説のディーラー」と呼ばれた著者はそう警鐘を鳴らす。では、何がその「引き金」となるのか、手持ちの円が紙くずになる事態から資産を守るにはどうすればいいか。緊急・徹底解説! ●日銀は世界の中央銀行の中でもダントツのメタボ状態に ●異次元緩和の最大の問題は「出口がない」こと ●荒唐無稽な「シムズ理論」に騙されるな ●「統合政府論」もむちゃくちゃだ ●「Xデー」が来るのはいつか? ●「消費者物価2%」達成が悪夢の始まり ●「米国十年債」の金利動向から目を離すな ●世界最強通貨、ドルを買え ●「自分磨き」に勝るハイパーインフレ対策なし ●それでも日本経済は大復活できる! 【本書「はじめに」より】『今の日銀は勝てぬ戦いと知りながら、どんどん奥地へ侵攻していった「インパール作戦」と同じことをしています。南進すればするほど補給線が伸びきって被害は甚大になります。しかし戦線を縮小する勇気がなく、奥へ奥へと侵攻し続けているのです。「財政は大丈夫だ」の大本営発表を信じることなく、ぜひ自分の財産を守ることを考えていただきたいと思います』
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Posted by ブクログ
日銀による国債引き受けは、「財政ファイナンス」と呼ばれる国際的な禁じ手。この事態への出口戦略もない。すなわち、ハイパーインフレになることは避けられず、余剰資金は今のうちにドルに換えておいた方がいいとのこと。著者は単なる経済評論家とは異なり、国会議員として黒田総裁に質問し、日銀としての公式回答を得るところから自論を展開しており、かなり信用に足ると思われる。
Posted by ブクログ
異次元緩和に「出口」なし! 日銀危機に備えよ
2017/8/19 著:藤巻 健史
安倍政権と日銀が行った異次元の質的・量的金融緩和(異次元緩和)によって、今の日本経済は極めて危険な状態にある。見えないところでマグマはどんどん大きくなっており、暴力的な噴火、すなわちハイパーインフレと円の大暴落が起きるのは時間の問題。そして残された時間はどんどん少なくなってきている。
本書の構成は以下の6章から成る。
①異次元の危機的状況にある日本経済。ハードランディングはもはや不可避だ
②異次元緩和に「出口」なし。いよいよ日銀倒産の危機到来
③シムズ理論、統合政府論 世にはびこる楽観論を斬る
④「Xデー」に備えて、今こそ絶対にドルを買え
⑤遅きに失した「円安政策」と「マイナス金利政策」
⑥それでも日本経済は大復活できる
未来はだれにもわからない。
しかし、本書で著者が説く「日本」の状況は恐ろしい。それも一つの事実でもある。そうならないために自分たちができることも少ない。かと言って指をくわえてみているだけというのもはがゆい。
有事に備える。最低限にすべきことなのかもしれない。起こらない。大丈夫と決めつけるだけではなく、可能性の一つとして受け入れればいざそうなったときの動きも変わる。
知識の少ない自分でも読みやすい内容である本書。
ウルトラCが期待できない現状。コツコツ努力するというのも現状では焼け石に水。他人事ではほっとけない「日本」の問題。誰しもがもう一度知っておくべきことが本書にはある。