あらすじ
【第10回日本SF新人賞受賞作】22世紀。ロシアの占領下にある近未来の日本では競走馬のサイボーグ化が決定。ロシア高官イリッチは、生身の馬体で行われる最後のダービーを勝つために零細牧場主・笹田の最高傑作“ポグロム”を購入。立ちはだかるのは最大手牧場が禁断の交配により生み出した“エピメテウス”。勝つのは「悪魔的な強さ」か、「病的な速さ」か。時代が埋もれることを許さなかった問題作。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
表紙がとても印象的。ロシアが日本を占領して、中山競馬場が崩壊、新潟が首府になって菊花賞が大ロシア賞になった、というSF。途中、作家さんが自分の設定に酔っているように思えてくる箇所があったけれど、自分の箱庭で競馬を開催できるのって楽しいですよねえ。
ロシアのウクライナ侵攻という時期に読んだのはたまたまなのだけれど、それゆえちょっと変なリアリティがあった。
終わらせ方はちょっと残念だったけれど、これがSFじゃなかったらそれこそありきたりなストーリーになるので、その意味ではSF作品でよかったのかもしれない。終わった後の世界もちょっと興味はあるけれど……。
Posted by ブクログ
単行本が出た時に北上次郎氏が大絶賛だったので、読みたいと思い「未設定」のところに登録して秘かに文庫化なるのを待っていたが、なかなかこういう本が文庫になるのも難しかろうと半ば諦めてもいたところ、思いもかけずに本屋さんの棚に並んでいるのを見つけた時には嬉しい驚き。
しかも元々の徳間ではなく集英社からとは。やるじゃん、集英社文庫。
ただ、読み進めれば、ロシアによる支配や環境保護団体や腹脳という思考補助装置や非合法競馬の存在や馬のサイボーグ化など結構細かな設定が色々ありながらとっ散らかった印象で、雰囲気出すためだけに使われたのかって感じが否めず。
勿論競馬の話であるからそれなりに興味を繋いで読んでいけたし、作者の競馬へのこだわりもそこかしこに挿まれる描写で感じ取れはしたが、テーマが拡散してしまって、ポグロムvsエピメテウスの対決にも熱くなれず残念。