【感想・ネタバレ】最難関のリーダーシップ ― 変革をやり遂げる意志とスキルのレビュー

あらすじ

ハーバード・ケネディスクールで25年間
「最も影響を受けた授業」に選ばれ続ける
ハイフェッツ教授の超実践的リーダーシップ論。

ロナルド・A・ハイフェッツ(ハーバード・ケネディスクール上級講師)
独創性に富んだリーダーシップの教育と実践法が世界中から高く評価。
2013年放送の「リーダーシップ白熱教室」が日本で大きな話題に(NHK教育テレビ)。
IBM、マイクロソフト、マッキンゼー、世界銀行、CIAなどのアドバイザーも務める。
チェリストでもあり、ロシアのチェロの名手グレゴリー・ピアティゴルスキーの愛弟子のひとり。
本書の原書The Practice of Adaptive Leadershipは11万部突破のロングセラーとなっている。

「理詰めで答えが得られないときが、リーダーシップの出番だ。」
あなたはいま、どんな問題に取り組んでいるだろうか?
その問題の解決のために、時間とエネルギー、経験と専門知識を総動員しているかもしれない。
それでもまだ解決できずにいるなら、恐らくその問題は「技術的問題」ではなく「適応課題」だ。
「技術的問題」であれば、技術や経験だけで解決できる。だが「適応課題」では、当事者が現実を直視して、
一時的な喪失や恐怖を受け入れ、変化に適応できるよう戦略的かつ政治的に対処することが求められる。
誰も好んでやりたいとは思わないだろう。相手だけでなく自分にもキャリアや生活の危機を招くことになる。
だが誰かがやらなければ、国家、社会、コミュニティ、組織は変化に適応できず、崩壊してしまう。
だからリーダーシップとは最も危険で、最も価値ある行動なのだ。

あらゆる人々をまとめ動かす、戦略的・政治的テクニック&ツール集
派閥抗争、合併による企業文化の衝突、既存事業への固執、組織のサイロ化…
これまで誰も手がつけられなかった最難関(適応課題)に、あなたはどう立ち向かうか?
どうすれば権威者、反対派、協力者、傍観者、異端者をその気にさせられるか?
観察・解釈・介入のプロセス、公式と非公式の権威、政治的思考、バルコニ―に上がる、エレファント…
35年にわたるリサーチ、営利・非営利・公共での実践、世界中でのコンサルティングで検証を重ねた
「アダプティブ・リーダーシップ」の理論と実践を、ケーススタディ、ワークシート満載で解説する。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトル(邦題)があまり良くないが、、良書。

課題は適応課題と技術課題の2つに分けられる話が冒頭の「日本語版への序文」に書いてあり、そこだけでも学ぶものがあった。
リーダーシップはリーダーのものではなく、誰しもが持つべきスキルで、答えのない問題にどう取り組むべきかが書いてある。
組織へのアプローチと個人(自分)へのアプローチに分けてあるところも分かりやすい。

内容が難しくページ数も多いので読むのは難しく、一読するだけでは真髄が掴めないところはあるが、リーダーシップを発揮するために必要な考え方がたくさん書いてある。

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2025年03月16日

Posted by ブクログ

読み終わるまでに1年以上かかりました。
少しずつ読み進めて1年経ったのではなく、読み始めては途中で止まり、何か月か空く。そしてまた読み始めるのだけど、間が空きすぎたために、もう一度最初から読み直す。
そんなことを繰り返していたら、結局最後まで読むのに1年以上がかかってしまいました。

何度も挫折しながらも、最後まで読めたのは、「目を背けてはいけない、読むべき本」だと思ったからです。

問題には技術や経験で解決できる「技術的問題」と、答えのない課題=「適応課題」がある。

本書は「適応課題」を前進させ変革を推進するためのリーダーシップ=アダプティブ・リーダーシップについて書かれた本です。

答えがないのに前進させるというのは一見矛盾しているように感じますが、課題が存在する以上は何とかして前へ進めようという試みがアダプティブリーダーシップです。
現状をバルコニーに上がって俯瞰しながら、時には対立を表面化させることも必要だし、時にはじっと耐えて待つことも必要。技術的課題と違い、これをすれば解決するという方法がない中、状況に適応しながらリーダーシップを発揮するのは、課題に対する”あり方”の課題でもあります。

試しにやってみようという生半可な気持ちでできるリーダーシップではなく、絶対にやり遂げるという強い意志をもって挑戦しなければ、容易にくじけてしまうでしょう。

変えられないものをありのままに受け止める”ネガティブケイパビリティ”の姿勢を持ちつつも、「あなたはあなたのままでいい」と自分を甘やかすのでもないリーダーシップ。

この本に書いてあることは極めて実践的な内容です。
ただ、それらを全部やれば、すべての課題は解決するということではありません。
あらゆる状況をよく観察してみ見極め、自らとチームを適応させることが肝心になります。

この本は、適応課題に突き当たり、それを前に進みたいときに、「今は何をするべきか」と開き、なにかしらの解決の糸口を探す、冒険の書のような役割を果たしそうです。

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2024年12月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

著者は、ロナルド・ハイフェッツ氏(ハーバード・ケネディスクール講師)他。推薦図書として購読。

感想。良書。


備忘録。
・変革のリーダーシップに必要なのは、鼓舞することと、汗を流すこと。本書はそのためのツールと手法を紹介するものだと。

・今は、大志と現実のギャップを埋めるようなリーダーシップが求められる。新しい形の臨機応変な技能だ。

・アダプティブリーダーシップ。難題に取り組み、成功するように人々をまとめあげ動かしていくこと。

・多くの場合、すぐに行動に移してすぐに問題を解決するよう期待されるプレッシャーがかかる。本書では、拙速な判断に基づく急場凌ぎの対応は防ぐべきだという。「診断」はリーダーシップを実践するうえでもっと大事にされるべき。

・技術的問題と適応課題を区別する。

・「変化には抵抗がつきもの」とよくいうが、短絡的に抵抗するほど人は愚かではない。変化によって失う何かに人は固執し抵抗する。だからリーダーシップを発揮するには、変化によって失うリスクを診断する力が求められる。

・アダプティブリーダーシップがなかなか見られないのは、その実践が危険だからである。対立は起こり、矛盾が発生して、全員の期待には応えられず一部の期待に応え期待を超える成果を目指す。その先頭に立つのはしんどいのだ。

・適応課題に取り組む最初のステップは「システムの診断」。バルコニーに上がって組織の全体を眺める。組織の文化と影響力を言語化するように努めたい。

・組織間協調を求めつつ、個人の業績で評価される矛盾。

・次のステップ「システムを動かす」。その場しのぎではない長期的な解決策を提示する。一部の人は不快に思うかもしれないが、課題をはっきりさせ、問題点と現状の解釈を提示する。不快感を活用して前に進める(不快感を抑え込んだり、曖昧な態度は取らない)。組織内の独自のネットワークを活用する。組織の適応力を強化して次々と起こる適応課題に対処する。

・拙速に、過去の成功体験に基づいた行動を取らない。ハンマーを持てば全てが釘に見える。

・トップマネジメントは「静観」も大事。方向性を示したら一旦どうなるか見てみる。うまく自分の意思が伝わらなくても、安易にもう一度説明しない。

・抵抗者について。なぜ抵抗者に付き合わなければならないのか。決してあなたは悪人ではない。でも、まずは対話と傾聴をしてみよう、予期せぬヒントも出てくるかも。抵抗の裏には「別のやり方の方がうまく行く」という想いがあったりする。

・対立を組織化する。より良い未来のために対立は不可欠なステップと考え、うまく協力できないメンバーを寛容に受け止め、難局を乗り切れば団結力が高まり目標に邁進できると信じなければならない。オーケストレーション。音楽もあえて不協和音を組み合わせていて、不協和音はハーモニーに不可欠といわれている。

・自分もシステムだと認識する。

・アダプティブリーダーシップを発揮するにはわ道の領域に踏み込み、何かを引き起こす意志とスキルが必要。それは、混沌や混乱、対立を作り出すことであり、それがゴールへ進む方法だと受け入れなければならない。無秩序や曖昧さ、緊張感を許容する力が重要だ。「正しい方法かわからないけど、何かをしてみなければならない。実験だと考えればいいのだ」と、自分に言い聞かせなければならない。

・難しい決断について。人生には難しい決断が必要だと受け入れる。決断に悩むということはどの選択肢にもメリットがあるからだ。決断は常に続きだからこそ決断の次の新しい決断でやり直せる。また難しい決断が重要な決断とは限らない。

・変革のリードは実験である。確かな結果をもたらさなければならないと勝手に思いがち。不動の杭を地面に打ち付けるのではない。ただし、実験的なマインドだったとしても、周囲に実験マインドを宣言する必要はない。トップが成功を確信していない施策は、社員が本気で動かない。

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2024年11月02日

Posted by ブクログ

人々に適応を要する課題を解決するために、必要なアダプティブリーダーシップを実践するために必要なことが書いてある。

観察、診断、実行を行い、バルコニーに立って繰り返すことがアダプティブリーダーシップの実践には必要

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2022年05月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本質は、問題の捉え直し。技術的問題と適応課題

リーダーシップではあるが、人の側面を組織的に捉えて語っている事が本書の素晴らしい点だと思う。

技術的問とは、これまで積み上げてきた経験や専門性・成果、知識を使って解決できること
適応課題は、経験や専門性だけでは前に進まないため、社会や組織の人々が大切
している価値観や新年を昭赤西、変化に適応できるように戦略的かつ政治的に対処していくことが求められる。

●きびしい現実の直視、優先順位のリセット、痛みを伴う

●なぜ今なのか?
➡かつての日本は、高品質を武器に世界と戦えていた。今は、多様なニーズと個別化された価値観への適応が求められ、延長線上のイノベーションでは対処できないところであるから

●日本の武器は?
➡改善力。日本人は、自ら進んで行動し、自分の役割を超えてメンバーを巻き込んで目標達成に貢献する意識をもって仕事ができる。

●リーダーシップとは?
➡リーダーのみならず、誰もが。先天的ではなく、実践と内省の繰り返しの中から。身に着けられるスキル。

●アダプティブリーダーシップとは(適応課題へのリーダーシップ)
➡何か大切なものを成し遂げたいと思ったときに、自分の役割や立場を超えて、周りの人とともに、自らもリスクをとって課題を前進させていくこと

構成
1目的と可能性
 ・リーダーシップの実践には、診断と行動のプロセスがある
 ・プロセスには、自分が活動する対象のシステム(組織など)と、自分自身がある
 ・進め方、データの収集と問題の特定→解釈→何ができるのかを考える
 ・通常は、単純に進まずに繰り返し診断へ戻りつつ展開する
 ・アダプティブリーダーシップは、守ること、捨てること、始めることを決めることという特性を持つ
 ・人々を参画させるには、保守的かつ、先進的である必要がある
 ・
2システムを診断する
 ・適応課題には、新しい適応を難しくする仕組みが潜む
  1 使命感を大切にして、合議が欲しがる
  2 利益を追求していて、環境が変わっても現状にすがる
  3リスクを避けて、安全性を重視し適応への圧力や市場競争を回避
★どのセクターにあり、どんな適応課題があるのか
ワーク 自分達の経験した課題や危機を振り返り、経過をあらわみる。実際に望んだ結果は?プロセスの中で有益な行動や態度などはあったか。発見したあらたな強みを今後どういかすのかを考えてみる
★組織とは、システムが複数存在している。そこには必ず書くとなる、構造(インセンティブプログラム)と文化(規範や会議)と習慣的対応(問題解決や思考・行動など)がある
3システムを動かす
4自分をシステムとして認識する
5自分を戦略的に動かす

適応課題の診断
適応課題は、自分たちのやり方や考え方を変えなければならない。適応を促す作業をやらないといけない。
適応課題には、事業的側面と人間的側面がある。
➡︎組織開発においては、この人間側面を見ていなければならない。

適応課題の4類型
1.大切にしている価値観と行動のギャップ
 大企業では個業化が進み成績につながっていることから、部門をまたぐ連携がとりづらい
2.コミットメントの対立
 戦略の不整合や、片手落ちにどうしてもなる事など。(この状態から解放に向かう取捨選択が必須)
3.言いにくいことを言わない。(建前の会話しか起こらない
 評判が下がる、立場を失う、叱責を受けるといった心理的安全が担保されていないこと。
4.回避行動。苦痛を回避するために行動をすることも含
 問題のすり替えや責任転嫁が起こる。技術的な対処、問題の歪曲、まほ認めない、攻撃、排除など。


適応課題の焦点
組織には、必ず政治的な関係がある。この利害を正確に把握して価値観などの暗黙知を表出させ、複雑な利害と本人の価値観、苦労を理解して、肯定的に反応する。コアバリューへの共感が本人の行動変革に重要。
チームのメンバーには、どこに忠誠心があるかを見極める。直属の関係ではないかもしれない。

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2020年07月29日

Posted by ブクログ

適応課題と技術課題。

目の前の課題に飛びつかず、冷静に観察し、その課題の性質を掴む。

バルコニーの視点。

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2019年07月27日

Posted by ブクログ

リーダーシップの実践書の決定版ですね!
リーダーとは、こうあるべき、こう考えるべきと説く本は多くあるが、リーダーシップを発揮する苦しさ、迷いそして、実現するための人の巻き込み、組織のダイナミクスをこれほど実際的にまとめた本はこれまでありませんでした。目からうろこと、そうそうこれこれと思わせる内容でした。しかし。。。やっぱりリーダーはここまでやらなきゃいけないのか。。。と少し。。。いやかなり怖気づきますね。でも最後に所詮実験なんだという言葉に救われます。部分的にも色々な場面で使える考え方満載で、私のOne of the best bookです。

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2018年02月15日

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ネタバレ

・アダプティブ・リーダーシップとは、難題に取り組み、成功するように人々をまとめあげ動かしていくことである。
・アダプティブ・リーダーシップは、人々が喪失を超えて新しい世界に進めるように、喪失を評価し、上手に扱い、割り振り、背景事情を説明するといった仕事を、ほぼ例外なくあなたに課すことになる。
・リーダーシップとは実践であり、誰かの具体的な行動だと、私たちは考えている。リーダーシップという言葉は、職務の名前ではなく動詞である。権威、権力、影響力は大切な手段だが、リーダーシップを定義するものではない。
・失う可能性のあるもの:アイデンティティ、能力、快適さ、安全、評判、時間、金銭、力、支配力、地位、リソース、独立性、正義、仕事、生活
・適応力の高い組織の特性:1.「エレファント」を指摘する 2.組織の将来に対する責任が共有されている 3.自主性のある判断が期待されている 4.リーダーシップを育てる力が発達している 5.内省と継続的な学習が日々の業務に組み込まれている
・直接的な喪失が避けられないと思えば、誰でも逃げようとするはずだ。回避することは、恥ずかしいことではない。とても人間らしいことだ。
・仕事を相手に返したCEO
・自主性のある判断を促す組織では、スタッフが「上司は何を望んでいるのだろう?」ではなく「組織の指名を遂行するには、どうすればよいのだろう?」と考えて決断している。
・体に情報を提供する。

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2024年10月06日

Posted by ブクログ

読み応え抜群!著者は「アダプティブ・リーダーシップ」という概念を提唱し、「アダプティブ・リーダーシップ」をどう使ったらいいのか、が事例とともに描かれている実践の書です。思うのは、ここに書かれている概念的な話を「知っている分かっている、ではなく生きているか」が重要!ということ☆僕がこの本で一番学んだことは、「変化には抵抗がつきもの」というがそうではなく、それは、≪変化がもたらす喪失、失うこと、に対しての抵抗≫であり、その喪失を超えて新しい世界に前進することが出来るように後押しすることが大事!ということです☆本書を読んで、自分のリーダーシップ論を自分の経験と実践、実績で書いてみたいな!という新しい願望が出来ました!

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2020年05月02日

Posted by ブクログ

適応リーダーシップを実践するのは危険を伴う。そのためなぜ適応リーダーシップを実践しようとしているかは熟考の必要がある。という箇所が一番役にたちそう。

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2018年03月31日

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