あらすじ
ナンパは自傷。社会への復讐?あるいは救い?会社員、美容部員、風俗嬢、大学院生、ダンサー……クラブで、路上で、女性たちに声をかけ続ける。ナンパは惨めな自傷行為だ。それでも、挑まずにはいられない。得体のしれない他者と一瞬つながり、離れていく。人と分かりあうということはどういうことなのか。人との断絶やさびしさを、どのように抱えていけばいいのだろうか。ナンパを通して辿りついたコミュニケーションの小さな萌芽。
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Posted by ブクログ
自分との向き合い方が壮絶なまでで読んでいてハラハラした。しかし行為そのものは女の子を雑に扱っていて人でなしで、いいとこどりのつまみ食いで、ひどい。しかも心や体を開放してくれた女の子を蔑み、嫌悪することすらある。ひどいと思いながらも、とても誠実に描写していて分からなくもないのが怖い。自分に対して誠実であっても他者に対してはまったくそうじゃなくずるくて卑怯な主人公であった。
どこまで行っても自分本位でしかないのかと思っていたら、メンヘラの女の子と深く関わっていくので非常にハラハラした。そんな地獄めぐりのような小説でとても面白かった。
洋服やメイク、歩き方で人を値踏みするような輪には絶対に入りたくないと心底思った。入った時点で負けだ。
Posted by ブクログ
主人公は「ナンパ」という他人への行為を通して自分の世界を広げていき、自己分析も行っていきます。
様々な女性をナンパすることによって自分の世界が広がると信じている主人公にはどこか虚しさを覚えましたが、ナンパする恐怖を抱えながらも、自分を変えるために女性に声をかける姿には勇気をもらい、感心させられました。
自己分析がとても進んでいて、自分の「負」の部分からも目を逸らすことなく、静かに受け入れている姿も凄いと思いました。