【感想・ネタバレ】子育ての大誤解 重要なのは親じゃない〔新版〕 上のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 子供への親の影響が現代社会では過大評価されている。彼らの性格や家庭以外での振る舞いに対して、両親は永続的な影響を及ぼすことができない。という主張がこの方ではされている。
 まあ、よく言われるのが「半分が遺伝で、半分が環境」。しかしこの主張は、いくつかの脆い。
 まず、環境とは「遺伝によっても曲げられてしまう」。例えば、外向的な子と内向的な子。片方ずつ産んだ親は、それぞれに対する育児の方法は異なる。つまり、環境50%の中に遺伝的な要素が含まれている可能性がある。これを間接遺伝子作用という。(ここに関しては、ダニエルネトルも同様の主張をしていた気がする)実際、行動遺伝学の研究によって、親の行動は大して子供に影響を与えないことが示唆されている。出生順位に関しても同様だ。(二番目の子供の方が愛される確率が8-9割高い)
 そして、家での振る舞いと社会での振る舞いを切り替えて区別する「コードスイッチング」も行われる。経験済みかも知れないが、家での顔と学校での顔が全く違う子は存在する。つまり、親の振る舞いは家庭内で影響したとしても、家庭外に出ても永続的に影響を与えるとは限らない。
 そして子育て観というのも、文化や年代によって変わる。今まで、(真似してほしくない文化ももちろんあるが)どんな方法でも、人間は育ってきた。だから、子育てで人が変わるというのも少し傲慢な考えとも言える。

以降、人の特性的な部分に焦点が当てられる。
心の理論や集団同調性などの説明がされていた。

 筆者の興味深い点は、アタッチメントの理論の誤り?を指摘しているところだ。愛着理論とは異なり、母子との関係を他の人間関係には持ち込まない。という考え方だ。
 では、親ではなくて、何から物事を学ぶのか。人は、実は同じカテゴリーに属する集団から多くを学ぶ。要するに、子供は子供から学ぶのだ。
 また、小学校時代の集団における立ち位置は、将来にも影響を及ぼすが、あくまでも集団における地位調整に留まる。友情などの二者関係には無縁なのだ。そこの立ち位置に影響を及ぼすのは、身体的、肉体的、知的な鋭さだ。優れた人間は上位層となり、中位・下位層は上位層を模倣する。

幼少期のグループは変動的であるが、影響力も大きい。賢いグループにアホが入れば、ある程度賢くなることができ、その逆もまた然り。類は友を呼ぶ。これは間違いない事実であるが、そこを自制心で抑えて、理想的な集団に属するのもいい選択かも知れない。

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2022年06月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

親の養育によって子供の人格は型作られるという、「子育て神話」に対する反論として有名な本。

いわゆる社会科学に対する方法論上のツッコミ(実験ができないのに相関関係を因果関係とみなしがち)など冗長な部分も多いが、主張としては以下の三点

・子供の性格形成に親はほとんど無関係。親と似るところはあるが、その理由は遺伝子を受け継ぐことと、親と同じ文化に属するからにすぎない。

・子供の社会化、性格形成は家庭外での経験、すなわち仲間との共有環境による

・人の行動パターンは一般化されにくい。家庭での行動は家庭内だけで有効な行動で、子どもたちは新しい状況では現状に即した新しい行動パターンを身につける

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2017年10月23日

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