あらすじ
不適切なかかわりが、子どもの脳を変形させる
脳科学が明らかにした驚くべき事実
「子どもの前での夫婦喧嘩」、「心ない言葉」、「スマホ・ネグレクト」に「きょうだい間の差別」──。
マルトリートメント(不適切な養育)が子どもの脳を「物理的」に傷つけ、学習欲の低下や非行、うつや統合失調症などの病を引き起こすことが明らかになった。脳研究に取り組む小児精神科医が、科学的見地から子どもの脳を解明し、傷つきから守る方途と、健全なこころの発達に不可欠である愛着形成の重要性を説く。
[内容]
序 章 健全な発達を阻害する脳の傷つき
第一章 日常のなかにも存在する不適切な養育
第二章 マルトリートメントによる脳へのダメージとその影響
第三章 子どもの脳がもつ回復力を信じて
第四章 健やかな発育に必要な愛着形成
終 章 マルトリートメントからの脱却
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Posted by ブクログ
脳科学から見るマルトリートメント(不適切な養育)による子どもの脳への影響について提唱されてる本。
『(身体的)虐待』は心の殺人という理解が増えて、社会の認識で絶対やってはいけないこととなってる中で、『(心理的)虐待』とは何を指すのかどこまでがあたり、どのような影響があるのかも不透明。虐待という言葉を使うと身体的虐待のイメージが付きまとい、我が家は違うという風に問題視してもらえないと考え、"マルトリートメント"という海外でも使われてる表現で話は進められていく。
そのマルトリートメント、実はどの親にもはっとすることはあるんでないのか?という話。
そしてマルトリートメントがどのように子どもの脳に影響があるかわかってきたよという話。
Posted by ブクログ
精神的なマルトリートメントによるストレスが、身体的なマルトリートメントによるストレスの方が、脳に与えるダメージが大きいという。
こころは目に見えないけど、確実に傷ついているということが、脳科学の観点からの解析を見ることができてタメになった。
Posted by ブクログ
育児をする上での気づきが色々あった。
自分の子ども時代、体罰は割と普通にあったけど、現代の脳科学の見地からは「百害あって一利なし」とのこと。体罰は子どもに屈辱の感情を残し、暴力で強制的に服従させることを是とすると認識させてしまうらしい。確かに自分自身の経験を振り返っても、体罰を受けて嫌だったことは覚えているものの、なぜ体罰を受けたかは全く覚えていない。
他にもいやいや期の「いやいや」は、わがまま故の振る舞いではなく、脳が発展途上で欲望を制御できないことが原因なので、叱るよりも見守る姿勢が大事とのこと。
Posted by ブクログ
出産前に、子どもとの触れ合いの参考にしたくて手に取りました。本書から、子どもが健やかに暮らすには、夫婦で仲良く、協力しながら子育てするのが不可欠と気付かされました。親や教員だけでなく、人を育てる管理職者の参考になりそうです。
以下、印象に残った3つ。
●『身体的マルトリートメントやネグレクトを受けた人よりも、親のDVを目撃し、かつ、自分もこころない言葉で罵られるなどのマルトリートメントを受けた人のほうが、トラウマ状態が深刻だった』
→親から子へだけでなく、夫婦間の口喧嘩や祖父母が親の悪口を言う行為も、子どもへの精神的な虐待になり脳を傷つける
●『多くの州では、「しつけ」と称して子どもに過激な体罰を与えたり、暴行を加えたりする行為は「暴力」とみなされ、虐待行為として通報されます。』
→日本の体罰によるしつけ、の文化は間違っていた。実は、頭やお尻を叩く行為が脳や心を傷つける。傷ついた脳で普通に暮らしていける人もいれば、トラウマになる人もいる。『自分が体罰されてきた』からといって、子どもに体罰してはならない。
●親や身近な大人が子どもに対して「積極的に使いたい三つのコミュニケーション」があります。
①繰り返す
②行動を言葉にする
③具体的に褒める
→①子ども「真っ赤なりんごを描いたよ」親「ほんとだ、真っ赤なりんごを描いたんだね」(子どもを主役にした会話の頻度を増やす)
②片付けしてるのね!(関心を伝える)
③友だちにおもちゃを貸したあげたの。えらいね!(褒めることは、罰や脅しより好ましい行為を増やす)