あらすじ
美容整形万能時代を生きる男と女。第2弾!
美容整形が今よりも安価に、気軽に出来るようになった近未来の日本。
クラスメイトがみんな整形していくなかで一人出遅れてしまった少女の苛立ち、「整形しないこと」をアイデンティティーとして生きる老人の思い、見た目の若さを保ち続けて心の中まで以前のままで抜け出せない女性のささやかな願い、そして人里離れた場所で整形することなくただ日々を暮らしている老女の過去……。美と若さが大きな価値を持つ世界、その中で取り残されてしまった人々の葛藤を繊細に描きだした読み切り短編集!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
整形で誰でも美しくなれる世界。
外見的な美しさが普通になっても、センスや愛嬌や知性、あるいはナチュラルであること、あらゆるところで差別化、格付けはなされます。
人間は欲深いので。
誰よりも魅力的な自分を望まずにはいられない。
遺伝や老いを理由に美しさを諦められない。
この有様を悪いとは思いません。
醜いよりも美しい方がいい。
ただ疲れるなと思う。
醜さに怯えながら、魅力的であり続ける労力はどれぐらい?
美への渇望は死ぬまで続く…。
Posted by ブクログ
「整形手術をしてはいけない」この言葉は一般的よく言われることだと思う。ただなぜ整形手術をしてはいけないのか明確に答えることができる人はいるだろうか?親にとっては、どんな顔でも子供はかわいいので(かわいいはず)生まれたままの顔でいてほしいと思うのはうなずける。顔に大きな腫れものができて、それを取り除きたいという程度の整形手術ならまだわかる気がするが、顔を根本的に変えるのはいかがなものかと私は個人的には思っている。でも「してはいけない」と納得させるのには不十分だ。
少し話はそれるが2chのスレッドで女子大学生が大学院に行くよりもそのお金で整形手術をして美人になった方がより良い投資なのではないかという物があった。あながち間違いではないのかもしれない。現在私は社会人一年目で一年前に就職活動をしていたが、なんだかんだ大手の社員さんは美人の割合が多かった気がしている。ちなみに男はそんなに顔は関係ない印象。
さて本書は本を紹介する雑誌ダ・ヴィンチでたくさんの新刊から高クオリティーの作品を月に一冊選ぶ「プラチナ本」に選ばれたマンガだ。現在の日本よりも安価で手軽に整形手術をすることができるようになり、中学生前後から整形手術をみんながやり出す。ちょうど今の日本で中学生くらいから眉毛を剃り出すのと同じ感覚だ。
このマンガの世界ではみんなが美人、美男子になれる。異性を選ぶ基準を聞かれて多くの人は世間体を気にして性格と答える。しかしながら現実は違う。なんだかんだ男は美人が好きだし、女はイケメンが好きだ。私の高校の数学の先生も授業中に話していたし、親しくしている女友達もそう話している。顔というのは最初に目に入ってくる情報でその後に性格やその他が付随してくる。
この「顔」がどんな顔にも整形できたら私たちはどうなってしまうのだろうか。マンガのなかでは初恋婚が流行った。整形する前に素をさらけ出していた時に好きになった人と結婚すること。これは私たちの世界でも共感できることだと思う。小学生の時や中学生の時にまだ好きっていう気持ちがわからないけれども気になったことは誰しもが経験することだと思う。その対象となった異性は今でも気になることが多い、少なくとも私はそうだ。
このマンガはただ単にみんなが整形手術をしている世界をコミカルに描いているだけではなく、顔で解決できること、どれだけ美人になっても解決できない心の部分がしっかりと描かれている。メッセージ性が奥深くに潜んでいるマンガだ。
Posted by ブクログ
整形で見た目を都合良いようにいじられる近未来の世界。でも、そうしたところで自分も他人も、詰まるところ人は何を見ているのだろうということを感じた。ありのままの姿ということが逆説的に描かれているというか。
いちばん始めの短編に、美容整形のおかげだろう、おばあちゃんと母と娘が見た目3人姉妹というシーンがある。さらっと描かれているけれども、なかなかシュールじゃないか。この漫画はあるはずのものが無かったり有ったりというギャップを楽しむ、そんなことも出来るのではないかと。