あらすじ
終業後に呼び出された屋上で、突然婚約者に別れを告げられた鈴音。その現場に偶然居合わせた男・瀬田に飲みに連れ出され、それから彼との不思議な関係が始まる――。「俺がどんだけ……待ったと思ってんだ」口の悪い俺様男と強がりなOLの、婚約破棄から始まるオフィスラブ!
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Posted by ブクログ
婚約者から突然呼び出され、屋上で一方的に別れを告げられる鈴音。
しかもその場には浮気相手まで同席しており、言葉だけでなく暴力まで振るわれるという、あまりにも理不尽で胸糞の悪い幕開けでした。
元婚約者も浮気相手も、すがすがしいほどのクズっぷりで、その振り切れた悪役感が物語の痛快さを強めています。
そんな最悪の現場に偶然居合わせたのが瀬田。
ぶっきらぼうで口は悪いものの、鈴音が理不尽に傷つけられていると分かった瞬間、迷いなく前に出て守ろうとする姿がとても印象的でした。
感情論ではなく、証拠と理屈で相手を論破し、鈴音の尊厳を守る姿に強い正義感と男気を感じます。
鈴音は強がりで我慢強い性格ですが、物語の序盤ではさすがに心が追いつかず、元婚約者との関係を引きずってしまう部分もあります。
突然すべてを失った状況で、すぐに立ち直れないのはとても自然で、その弱さがリアルでした。
ただ、中盤で鈴音はきちんと気持ちを切り替え、元婚約者や浮気相手に対して一切揺れることがなくなります。
曖昧な態度を取ることなく、はっきりと拒絶の意思を示し、自分の尊厳を守る姿勢がとても好印象でした。
過去に縋らず前を向く決断ができる鈴音だからこそ、読んでいて安心感があります。
瀬田はぶっきらぼうで誤解されやすい性格ですが、根は照れ屋で一途。
言葉は不器用でも、必要なときに必ず行動で示してくれるタイプで、強がりな鈴音との距離の縮まり方も自然でした。
お互いに似た不器用さを持つ二人だからこそ、この関係性に説得力があります。
終盤で描かれる瀬田視点では、彼がどれほど長い時間鈴音を想い続けてきたのかが明かされます。
ぶっきらぼうな態度の裏に隠された感情を知ることで、これまでの言動すべてが腑に落ち、胸に迫るものがありました。
水玉模様の絆創膏の意味に気づいたときは、思わず最初から読み返したくなります。
可愛らしいタイトルとは裏腹に、描かれているのはとても男前で誠実な恋愛。
鈴音が中盤でしっかり過去を断ち切るからこそ、後半の展開が気持ちよく、読後感もとても良かったです。
強くなっていく鈴音と、一途に支える瀬田の組み合わせが魅力的で、最後まで安心して楽しめる一冊でした。