あらすじ
江夏七海は小五の夏休みに、落ちぶれた冒険家の父に連れられ、宝探しの仕事に向かう。だが、「危ないことが大好物」の父が、“宝”の正体を聞いて顔色を変えた! 一方の七海は、依頼主の豪邸で見た写真の少女にひと目惚れ。もはや父は邪魔なだけ。友人と宝探しを始めるが、裏切り、襲撃、誘拐と、手に負えない困難ばかり……。ドキドキ青春サスペンス。
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はちゃめちゃ冒険家父と悩む11歳、父を否定しながらもほんとは大好きでちゃんと七海(ガガリン)の行動に父の姿を感じるあたり面白い。
宝は追い求めるものではなく守るもの
人生というのは、宝物を探す旅じゃない。無くさないように必死で守る日々を重ねること
Posted by ブクログ
サブタイトルは「史上最悪の夏休み」。もっとぴったりの季節に読めばいいものを、いま読まなければまた来年の夏を待つことになってしまうと思い。
以前、高野秀行が書いた児童文学っぽい小説を読んだとき、それなりには面白かったけれど、高野さんはやっぱりノンフィクションがいちばんだと思いました。木下半太はノンフィクション作家ではないものの、いつもとはまるでちがうジャンル。半太さんまで色気出して児童文学に手ぇ出してからにと思ってしまったのです。でも、これは良かった。
恥ずかしいぐらい浮世離れしている冒険家の父親を持つ小学生男子・七海。京都の大金持ちの爺さんから、家出した孫娘を探してほしいと頼まれた父親は、なぜか七海までその捜索に付き合わせる。破天荒な父親に不安を感じる七海に親友ふたりも付き合ってくれることに。
京都と大阪、特に北摂地域に土地勘のある人なら三割増以上でたぶん楽しい。かくいう私も、作中の走行経路が全部わかるから、ちょっと興奮するぐらい楽しかった。
いつもは「ら抜き」だらけの印象があったのに、「食べられる」「来られる」と見事に正しい日本語。児童文学のほうが気を遣うのかしらん。
まんま槇原敬之の歌のタイトルでしょ。中身はマッキーの歌とは全然ちがったけれど、七海はみんなに歌いたくなったかもしれません。だって君は僕の宝物。
Posted by ブクログ
木下半太の長篇小説『きみはぼくの宝物 史上最悪の夏休み』を読みました。
木下半太の作品は、5月に読んだ『極楽プリズン』以来ですね。
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江夏七海は小五の夏休みに、落ちぶれた冒険家の父に連れられ、宝探しの仕事に向かう。
だが、「危ないことが大好物」の父が、〝宝〟の正体を聞いて顔色を変えた! 一方の七海は、依頼主の豪邸で見た写真の少女にひと目惚れ。
もはや父は邪魔なだけ。
友人と宝探しを始めるが、裏切り、襲撃、誘拐と、手に負えない困難ばかり……。
ドキドキ青春サスペンス。
解説/浅野智哉
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2013年(平成25年)に刊行された『宝探しトラジェディー』を大幅に修正、改題して2017年(平成29年)に刊行された作品です。
江夏七海は小5の夏休みに、落ちぶれた冒険家の父・十蔵が請けた“宝探しの仕事”に付き合うことになってしまった……探してほしい“宝”とは、依頼人・衣笠諭吉の孫娘・風子、、、
七海は、風子の写真を見てひと目惚れするが、腹違いの姉だとわかり大失恋! 思いを秘めて宝探しに出たものの、予想外の裏切り、襲撃、誘拐事件が待ち受けていた……繰り返す失敗、絶望に次ぐ絶望、でも、せっかくの人生、ハラハラドキドキしないと意味がない!
少年は、探すべき本当に大切なものに出会うことができるのか――。
小学5年生の少年・江夏七海と同級生で親友の近藤桃太郎、桶谷常夫の3人が経験するひと夏の冒険を描いた青春ミステリでしたね……落ちぶれた冒険家で破天荒な父親・十蔵や元フィリピンパブのダンサーで底抜けに明るい義母のマルガリータ、家を出たままの実母・由美、運動神経抜群の異母姉・風子、風子の祖父で地域では天狗さんと呼ばれて恐れられている大富豪の衣笠諭吉、その部下・目黒 等々の個性的な面々を絡めた宝探しが愉しめました、、、
七海の中に眠っていた冒険家の遺伝子が覚醒していき、実力が開花していく展開は、少年の成長の物語としても愉しめましたね……ピュアな展開や読後感の爽やかさは木下半太らしくないと感じましたが、これはこれで良いですね。