あらすじ
今どきのプロジェクトに正攻法は通用しない!
教科書が教えない成功の法則を丸ごと伝授
IoT(Internet of Things)やAI(人工知能)といった先端ITの導入、新事業の立ち上げ──今どきのIT(情報技術)関連プロジェクトの多くは「手探りプロジェクト」です。ゴールが明確でスタート時に先行きの計画を立案できるこれまでのプロジェクトとは違い、ゴールはそもそも曖昧で、スタート時に先行きの計画を立案するのはほぼ不可能です。計画を作ったとしても、途中で大幅に変更せざるを得なくなります。
通常のプロジェクトが突然、「手探り」状態になるケースも珍しくありません。今どきプロジェクトは短納期・低予算で人もギリギリ。事業と密に関わっており、関係者は多種多様。こんな状況ではちょっとしたことがきっかけで、突然、真っ暗闇に放り込まれてしまいます。
PMBOK(プロジェクトマネジメント知識体系)をはじめ、プロジェクトマネジメントの教科書や参考書は数多くありますが、今どきのプロジェクトに求められるテクニックはほとんど教えてくれません。
本書は今どきの「手探りプロジェクト」に焦点を当てて、成功に導くテクニックを109の「セオリー」として具体的に分かりやすく説明します。セオリーの中には「そんなやり方、アリ?」と思われるものも少なくありません。人材評価や社内政治に関わるものなど、通常のプロジェクトマネジメントの範囲から外れたトピックもあえて取り上げています。マネジャーやリーダー、SEなど、プロジェクトに関わるすべての方にお役立ちの1冊です。
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Posted by ブクログ
PMBOKを学びたいと思い購入。著者の本園氏は三菱電機系列ほか数社でご活躍されたITコンサルタント。
感想
PMBOKについては一切学べない(もともとそういうコンセプト)。しかし、困難なプロジェクトを達成に導くためのノウハウがたくさん紹介されていて、これはITコンサルではない私にとっても、とても勉強になった。
備忘録
・この本が対象にしているのは不確実性の少ない簡単なプロジェクトではなく、暗闇を手探りで進めざるを得ないプロジェクト。
・プロジェクトの完全合理化は無理。曖昧さを無くすことに尽力すると一向に前に進まない。
・壁にぶつかった時、計画を一つずつ順番に進める順次戦略だけでは弱い。何らかの効果を狙ってある種闇雲に複数進める累積戦略も一考。この場合、偉い人に状況を説明しにくいがそこはマネジャーの腕の見せどころ。
・教科書が教えてくれるのは、教科書で扱える領域だけ。利害関係者の調整とか、信頼関係の構築方法とかは正解がない。
・マネジメント方法は、ジャイアン型・スネ夫型・のび太型それぞれを使い分けるのが良い。
・「雨が降ったこと」すらマネジャーの責任と思え。
・あら探し大臣には専用の囮を用意。それで満足してもらう。
・「合理的で正しい解決策だから受け入れてもらえる」は子供の考え。選ばれるのは正しい提案ではなく、意思決定者が理解できる提案。スンナリ分かってもらえるシンプルなプレゼンが大切。
・暗闇プロジェクトは、何が起きても想定内の事象と考えるべし。マネジャーは自信満々に「想定内」とウソをつくべし。
・原因究明や調査に過度に時間をかけるのは、時にマネジャー個人の納得感が得られるだけで、付加価値が低いこともある。
・合意と意見の一致は別物。意見は違くても、合意はできる。
・マネジメントにとって最も大切な仕事は、計画の策定や管理ではない。社会的・文化的問題の処理、チーム内の問題解決だ。
・言い訳ばかりの部下にイライラするが、そこはぐっと我慢し、言い訳を分析し、問題の本質を探す態度をとるべき。
・感情の力は、合理的で理論的な判断すら上回る、強い力。
・暗闇プロジェクトで難問にぶち当たった時、今目の前に仕事の付加価値があることを喜べ。
・部下に「対策を立てろ」と指示するマネジャーは無能。部下が対策を立てられるなら大した問題ではない。また、問題を無くすのは不可能。問題はやり繰りしろ。