あらすじ
訓練、演習では世界一強いといわれる自衛隊
優秀な能力を秘めながら、実力を発揮できない
自衛隊の何が問題なのか?
世界でもその優秀さで知られる海上自衛隊の潜水艦!
その元エース潜水艦長(米原潜との演習で18勝1敗1分) が詳らかにする!
◆自衛隊を阻むものの正体!
◆自衛隊が戦闘できないこれだけの理由
◆過度の安全重視は有事の被害を招く
◆憲法に武官の存在を明記しよう
◆自衛隊の「敵前逃亡」の罪は盗撮より軽い!
◆どんなに任務を遂行しても、自衛隊は叙勲の対象外
◆陸・海・空──自衛隊三兄弟でも性格はまったく違う
◆権威と信頼こそ、自衛隊を育てる要である
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Posted by ブクログ
自衛隊のレベルは世界的にも高いものだが、運用にあたっては、法律や社会的な制約が多い。 自衛隊が抱える問題点を、元自衛官であり教官でもあった著者が考察する。 平和な日本を支えている影の存在が自衛隊である。 ここ数年は、災害支援や基地のイベントなどで、平和的な存在であることを PR しているが、本来の使命は防衛である。 しかしその機能を果たそうとすると様々な障害がある。最初は法律。 基本的に攻撃は不可であり、作戦指揮にも法律の壁がある。 仮に戦争が始まった場合、辻褄が合わない戦力の問題、組織、国家戦略、自衛官自身の問題など、著者の経験を踏まえて問題点を指摘しており大変勉強になった。 この本は私論であるから、著者は考え方を自由に披露しているけれど、現役の自衛官や官僚からの異論反論も多いと思う。自分のような一般人はミリタリー雑誌や専門誌で、自衛隊の装備の能力などハードウェアに関する情報はよく見ているが、それを運用する自衛隊の組織や隊員の実態については関心が薄く、知らないことが多かった。 特に武器使用に関する法律の厳しさや実態に合わない法制度などは、一般人にはなかなか分かりにくい。 また国防を担う隊員のなり手が少ないのも大きな問題。 熱狂的なミリタリーファンは確実に増え続けているのに、自衛隊の当事者にはなりたくないという流れだ。 ネットで声高に国防の重要性を叫ぶけれど、実際は他人ごと。 人任せである。 自分が隊員になって国防を担いたいという人は少ない。 また自衛隊員の中にも、公務員気質で国防に真面目に考えない若者もいて、隊員気質を憂える著者の心配が印象に残った。