あらすじ
8~16世紀、西アフリカ内陸部の地に興隆したいくつかの黒人国家は、サハラ砂漠を越えて北から運ばれて来る岩塩と南からの金や象牙、奴隷などの交易で繁栄したという。そして、その中心には伝説の“黄金の都市”があった。それらの国家はすべて消え去ったが、往時のままに岩塩が切り出されるタウデニ鉱山と、ラクダのキャラバン「アザライ」によってかつての黄金の都・トンブクトゥに運ばれる塩の交易は、21世紀の現在も続いている。写真家の著者は、30年来の夢を叶え、トンブクトゥからタウデニ鉱山へ往復1500キロ、アザライに密着する命懸けの旅を敢行した。これは、美しい写真と共に綴られた42日間の過酷なキャラバンの記録である。【目次】はじめに/第一章 タウデニ岩塩鉱山への旅立ち/第二章 タウデニ岩塩鉱山/第三章 タウデニからの帰り道/第四章 旅の終わりの試練/あとがき
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Posted by ブクログ
何気なく手に取った本で、のんびりした紀行本かと思いきやとんでもないハードな内容だった。
以前中東で一夫多妻制なのは砂漠の過酷な環境で夫は早死にするケースが多くその救済の意味がある、と聞いた事があるけどこの本を読んで納得した。
砂漠の極端な気象条件を克明に記した貴重な本だと思う。
Posted by ブクログ
新書なのでいささかサイズは小さいのだが、それでも掲載されて
いる写真には圧倒される。
光の反射によって色を変える砂漠、地平線の彼方に登る太陽が
空に作るグラデーションをバックにした隊商のシルエット、
砂の上に残る無数のラクダの足跡、風によって姿を変える砂丘、
そして満天の夜空。
美しい風景と裏腹に環境は過酷だ。朝晩と昼間の寒暖差の激しさ。
昼間の灼熱の太陽と朝晩の凍えるほどの寒さ。脚が沈む混むほど
の砂砂漠と、石や岩の転がる岩石砂漠。
アフリカ・サハラ砂漠をラクダのキャラバンが行く。言葉だけなら
ロマンティックで想像を掻き立てるが、実際に体験しようとなった
ら相当の覚悟がるだろう。
それを成し遂げた記録が本書だ。それも30年位以上に渡る著者の
夢だった。板状にした岩塩を運ぶ隊商と共に、マリ共和国のトンブク
トゥからサハラ砂漠奥地のタウデニ岩塩鉱山を往復する1500Kmの
旅だ。
旅の記録の合間には塩が金と同じ価値を持っていた頃の話や、岩塩鉱山
の歴史の話などもあり、文章でも楽しめる。
ただ、現在、著者と同じ旅をしようとしても肝心のタウデニは内戦や
テロ組織の活動などで外国人の立ち入りは出来ないし、日本の外務省
はマリ共和国に対して退避勧告を出しているほどの超危険地域となって
しまっているのが残念。
著者も書いているが、いつかまた、砂漠のロマンに誘われて外国人が
訪れられるようになる日が来るといいのにね。
尚、ラクダは水を脂肪にすることが出来るらしい。そうか。私はラクダ
だったのか…。