あらすじ
世の中に「戦略本」はたくさんある。書店の棚には、似たようなタイトルの本が並んでいるが、そうした本と本書の目次を比べてみれば、驚くほど中身が違うことに気づくだろう。それは本書が、実際に戦火をくぐり抜けてきたビジネス経験に基づく実戦的な戦略を綴っているからだ。営業マンが戦火をくぐり抜け、ビュンビュン飛んでくる弾をよけながら戦っているような泥臭い現場から生まれた、きわめて実戦的で生臭い戦略。エリート教育を受けた経営企画部の人が立案するような戦略ではない。そもそも戦略というのは、パターンごとに決まった正解があるものではない。相手により、状況により、毎回毎回、違った答えを探し求めるものなのだ。その瞬間には正解だったかもしれない戦略は、次の瞬間にはもう時代遅れになっている。それくらいダイナミックに変化するもの。どんどん変わっていくのが戦略の本質である。その前提に立って本書は書かれている。そして、その時々の正解へ至る道筋や、本当に有益な情報を掴み、分析するノウハウなどについては、ていねいに解説した。本書を何度も反芻して、その考え方を自分のケースに応用すれば、自ずと道は拓けるはずだ。本書は著者の三十五年以上にわたるコンサルティング経験の集大成であり、改訂三版を重ねた名著、『リーダーシップの本質』(ダイヤモンド社)と並ぶものである。
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Posted by ブクログ
・戦略は、相手との駆け引きによって変わる「相対的」なもの
・「方針(戦略)」を決定し、その方針を実現するための「計画(戦術)」を立て、実際に「行動(戦闘)」する
・大事なのは「明日のスター」を育てること
Posted by ブクログ
著名な戦略コンサルタントである著者が、35年以上の経験を基に戦略とは何かを著した書籍。
「相手の懐に飛び込んで、相手が見せたくないものまで見せてもらう。見せてもらうからには、相手の役に立つこともする。そうやって立てていくのが、本物の戦略なのだ。」(P.24)
とあるように、単に教科書的に戦略を説明するのではなく、日本史や戦史、野球など昭和のオヤジが好きそうな話題でたとえながら、わかりやすく述べてくれている。たとえば、
「シェアトップの戦略と二位以下の戦略は根本的に異なる。業界による違いよりも、トップと二位以下の違いのほうが、戦略という面ではよほど重要なので、覚えておいてほしい。
シェアトップ企業に求められるのは、三六〇度全方位で守りを固める戦略だ。(…中略…)二位以下の企業の戦略は、一点突破である」(PP.98-9)
「ベンチャーはどういう戦略で挑んでいくかというと、シェア上位企業からすると、吹けば飛ぶようなちっぽけな存在にすぎないベンチャーは、とにかく新しさが命である。違いがなければ、ベンチャーには何の値打ちもない。
極端なことをいえば、値段は割高でもかまわないし、価格設定はあとから考えればいいのであって、まずはどうやって違いを打ち出していくか、どこが新しいのか、それを突き詰めることがベンチャーの基本的な戦略となる。」(PP.100-1)
といった説明は、コトラーによる競争戦略の一部(リーダー、チャレンジャー、ニッチャー)をそうした専門名を使うことなく見事に平易な表現でまとめてみせている。
とりあえず経営戦略を学んでみたという人が読むと、より理解を深められるかもしれない。