【感想・ネタバレ】「司馬遼太郎」で学ぶ日本史のレビュー

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Posted by ブクログ

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父の書棚にあった本。
とても読みやすく「司馬遼太郎」作品を解説している。
磯田道史氏の本を読んだのはこれが初。
「花神」について紹介されているが、早速、購入し
2冊目を読んでいる最中である。

司馬遼太郎から見た
「なぜ日本が無謀な太平洋戦争に突き進むことになったのか」
がわかる。
父も太平洋戦争時代を生きていた。
これを読みながら共感する部分があったのではないかと推察する。
司馬氏は兵隊として、戦争へ行かなければならなかった。日本の戦況状況を知りながら戦う事の恐ろしさについて紹介されている。
昭和初期生まれの父は、よく銃を持って立川から都心へ向け行進したようである。父はそれを誇りに思っていた時もあったようだ。運良く兵隊として戦うことはなかったが。

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2023年09月09日

Posted by ブクログ

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私は正直言ってしまえば歴史には疎いです。
本当にある種の時代(この本中の時代じゃないよ)には
もうそれはそれはひどいほどに。

本当にこの本は読者にとっても大変有意義な本です。
新書としてのレベルもずば抜けて高いです。
「司馬遼太郎」という名作家を軸に取り上げていますが
なぜ彼が自分の生きたであろう時代を取り上げなかったか…

それはきっと、そのくらい「暗黒も暗黒」な時代を
恥じていたのかもしれませんね。
だからこそ、その歴史小説は
深い感銘を与えるのだと。

読んだシリーズはこの本の時代のものではありませんが
まさしく彼の取り上げた法則通りの人物が
出てきました。
(そして決してその後も明るくはない人)

いろいろと考えさせられましたね。

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2022年11月25日

Posted by ブクログ

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人物評が断定的すぎて最近司馬作品読むのしんどいんだよな~と思っていたら、「司馬作品を読むときには、一定の約束事、言わば「司馬リテラシー」が必要なのです」と書いてあって深く納得した。なるほど、「可能なかぎり単純化して人物評価している」のは、司馬さんの手法なのか~。

すごくハマってた司馬作品が最近しんどかったのは、私が歴史小説に求めるものが変わったせいなのかもしれないな…。司馬さんが小説を通じて伝えたかったものを、これを読んでやっと受けとめました。

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2018年05月13日

Posted by ブクログ

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第二次大戦中、陸軍の戦車(走る棺桶)連隊に配属され終戦を迎えた司馬遼太郎が、終戦後「なんとくだらない戦争をしてきたのか」との思いに悩む。これが、司馬の日本史に対する関心の原点となったという。
その陸軍を作り上げた権力体のもとを辿っていくと、織豊時代に行き着く。その戦国から、幕末、明治の小説を取り上げながら、司馬遼太郎が「鬼胎」と呼んだ昭和初期の「日本人の姿(メンタリティ)を見つめ直す」構成になっている。

日本人には2つの側面(p.54)があるという。
○合理的で明るいリアズムをもった、何事にもとらわれない正の一面
○権力が過度の忠誠心を下のものに要求し、上意下達で動く負の一面
歴史を動かす人間」とは、もちろんひとつ目の人間である。「思想」で純粋培養されたひとではなく、医者のような合理主義と使命感を持ち、「無私」の姿勢で組織を引っ張っていくことができる人物(例えば大村益次郎)である。

なぜ日本の陸軍では不合理がまかり通ったのか。深く考えないという日本的習慣はなぜ成立するのか。明治時代の日本の軍隊は常に新しい強力な武器を持って相手を圧倒する精神があったかもしれないのに、いつからそのような国になってしまったのか(p.71)。
司馬が「鬼胎」と呼んだ時代の萌芽は、日露戦争の勝利(日比谷焼討事件)にあるという。「日本国と日本人を調子狂いにさせた」(p.149)。多くの軍人が「華族」になり、隣国など他者を貶めて優越感を感じる「歪んだ大衆エネルギー」にも繋がった。もし勇気あるジャーナリズムが日露戦争の実態を正しく伝えていれば、これ以上の長引く戦争は日本を自滅させることがわかったはず(他にも、日本に大きな負の要因要員をもたらした。太平洋戦争で、ソ連が仲裁に働くという期待から、戦争を長引かせ被害を甚大にした。北方領土問題も作り出した)。

時代を変革するために必要なのは、「合理主義」と「客観性」。そして「リアリティ」と「変化に対応できる柔軟な頭」。こうして、国・集団を誤らせない、個人を不幸にしないリーダー像を司馬遼太郎は描く。
そのリーダー像の対極にあるのが、伝統(形式)に囚われた人物や組織の在り方、合理主義とは相容れない偏狭な「思想」にかぶれて仲間内だけしか通用しない異常な行動を平気で採ってしまう人や集団。「思想」は人間を酩酊させる。この結果が、敗戦(300万人を超える不条理な死)であった。

最後に、日本人の最も優れた特徴は「共感性」(いたわり)だという。日本語に主語がないのは「無私の心」があるからだともいう。相手の気持ちになりやすい。気持ちが溶け込んでいる。異文化の人にも適応し理解できる能力、そして「自己の確立」。これらが21世紀に生きる人に重要だと締めくくる。それにしても、司馬遼太郎の小説から受取るメッセージは、現代と未来の日本人に向けた強烈なメッセージでもあると改めて痛感する。

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2020年12月13日

Posted by ブクログ

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「なぜ昭和の戦争で陸軍が暴走したのか」というテーマのもと司馬遼太郎が作品を書いていたことを説明し、その作品を紹介する形で日本人がたどってきた歴史を振り返り、今後私たちが同じ誤ちを繰り返さないように何をすべきか、本書の最後に司馬遼太郎の言葉を引用して締めている。
それはずばり共感性と自己の確立。
本書で紹介されている司馬遼太郎作品を読んでみようと思った。

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2020年03月03日

Posted by ブクログ

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歴史を語るときに「司馬遼太郎の功罪」というのがあるようで、小説としては面白いようですが、歴史については史実をは違うことが結構書かれている、というもののようです。
確かに小説に出てくるのが実在の人物が中心で、司馬遼太郎はかなりの量の資料を読み込んで小説にしているそうですが、色々と彼の想像で作り込んでいる部分もあり、それが史実と必ずしも一致していないようです。
ただ、この本で言いたいのは、彼の書き込んでいるている細部ではなく「大局」を読むと、彼が歴史についてどう評価していたかがよく分かるということだと思う。
いつも歴史小説・時代小説、それを元にした大河ドラマは史実に基づいたフィクションだと思っていますが、どの部分が史実でどの部分がフィクションだかわかっていないと、間違った理解をしてしまいそうです。

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2018年08月21日

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