あらすじ
アメリカ実業界の巨人マンダースンが、イギリスにある別邸で頭を撃たれ殺害された。突然の死を受け、ウォール街はじめ世界の投機市場は大混乱に陥る。画家にして名探偵のトレントは懇意の新聞社主に依頼され、この事件を解決して記事にするべく、特派員として現地に赴いた。そこで彼は最重要容疑者である、被害者の美しき妻メイベルと出会うのだった。盟友チェスタトンに捧げられた本書は、独創的な大トリックを有し、恋愛の要素をミステリに持ちこみ成功している。推理小説を旧来の型より大きく前進させ、黄金時代の黎明を告げた記念碑的名作。/解説=杉江松恋
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Posted by ブクログ
乱歩が選ぶ、堂々5位の作品。
あの『アクロイド殺し』(6位)をも上回るとは、一体どんな作品なのか?
ベントリーは、なんと〈ディテクション・クラブ〉の2代目会長というすごい人物!
代表作はこの1作だけなのに、名だたる推理作家が集まるクラブの会長までやっているなんて、これはもう気になる!読むしかない。
実業家が別邸で殺害された。
画家にして名探偵のトレントは、容疑者である美しい妻のメイベルと出会うのだった…
他の作品よりも名前を聞かないし、表紙も地味だし全然期待してなかったけど、とんでもなく面白かった!!
読み始めは特に惹かれることもなく読んでたけど、美しいメイベルと出会ってからは探偵トレントが苦悩する人間味のある人物になり、一気に面白くなる。
そして定型的な探偵ではあり得ない行動に出る。
謎めいた超人的な探偵がお決まりだった時代に、型を破ったおしゃべりで人間らしい探偵トレントは、どんなに斬新だったことだろう。
驚くことにこの型破りな作品は、クリスティーのデビュー作よりも7年も前の1913年に発表されている。
そして、素晴らしいのは型を破っただけではなかった。
古典だからと油断していたら、想像していない驚きの展開が(゚д゚)!
今読んでも全く色褪せてない。
人間が描かれていて、捻りもあり、定型的な探偵小説への皮肉も効いていて、最後が予想できないというこの作品は最高に好きなタイプだった。
1913年にまさかこんな探偵小説が出来上がっていたとは思わなかったので驚いた。
タイトルが『トレント最後の事件』だから、この作品の前にトレントシリーズがあると思いきや、この作品はデビュー作。
なぜ「最初」の事件なのに「最後」の事件なのか…!?
それは読んでからのお楽しみ(^。^)
★10
Posted by ブクログ
半分あたりで事件解決しちゃった?!
と思ったら、ここから本番だった。
二転三転ある推理小説。
財界の大物マンダースンが銃殺されたところから始まり、新聞社から探偵兼画家のトレントが現場に送り込まれる。探偵兼画家って?と思ったけど、そうか、画家も人間の外だけじゃなく内面を映し出す仕事だと思うと、人間観察力は探偵と共通してるなと納得。
マンダースン家の関係者一同に聞き込みをし、事件解決し…そうなところから複雑に入り込んでくる。
前半部分はスピーディーに進んでいく。
後半は二転三転。推理していると言っていいのかどうかわからないけど、予想してない展開でおもしろかった!人が何考えてるかなんて全然わからないね、本当に。
作者ベントリーに乾杯!(完敗)
Posted by ブクログ
第一章から衝撃の展開で幕があがる本書。探偵が事件を解決し、それで終わりと思いきや、そうはならない本書。江戸川乱歩が絶賛した物語。ミステリファン必読の一冊。