あらすじ
◎ピケティに次ぐ欧州の新しい知性の誕生◎
オランダの29歳の新星ブレグマンが、「デ・コレスポンデント」という
広告を一切とらない先鋭的なウェブメディアで描いた
新しい時代への処方箋は、大きな共感を呼び、全世界に広がりつつある。
最大の問題は、人間がAIとロボットとの競争に負けつつあること。
その結果「中流」は崩壊し、貧富の差は有史上、もっとも広がる。
それに対する処方箋は、人々にただでお金を配ること、週の労働時間を15時間にすること、
そして国境線を開放することである。
それこそが、機械への『隷属なき道』となる。
【目次】
第1章 過去最大の繁栄の中、最大の不幸に苦しむのはなぜか?
第2章 福祉はいらない、直接お金を与えればいい
第3章 貧困は個人のIQを13ポイントも低下させる
第4章 ニクソンの大いなる撤退
第5章 GDPの大いなる詐術
第6章 ケインズが予測した週15時間労働の時代
第7章 優秀な人間が、銀行家ではなく研究者を選べば
第8章 AIとの競争には勝てない
第9章 国境を開くことで富は増大する
第10章 真実を見抜く一人の声が、集団の幻想を覚ます
終章 「負け犬の社会主義者」が忘れていること
解説 欧州の新しい知性の登場 日本語版編集部
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
ベーシックインカムを知るため読んだ1冊。
ええやんBI。他にも関連書籍を読んでみたいー
1章
18世紀より豊かな今はユートピアか?
なぜ今うつは10代の若者の最大の健康問題になっているのか?自分は特別な人間と考える若者は1950年の12%から今日では80%、あなたはなりたいものになれる、と自己愛を育てられて…社会に出た途端、そこは過酷な競争社会となっている。そこでは失敗も自己責任なのだ。
格差は心を壊す。
2章
BIが有用である旨の世界各国の研究。
選択肢を得た人間は怠惰にはならなかった。
2009年イギリスや、1970年代カナダのミンカム実験。
減少…栄養失調、犯罪、10代の妊娠、酒タバコの消費。
ヘルスケア費。
増加…学校成績、経済成長、男女平等、小規模ビジネス。
3章
1997年チェロキー族のカジノ。
貧困は休めない。資金繰りに思考リソースを取られて、他への認知能力を常時押し下げられるので、申込手続の煩雑なプログラム…思考リソースを消費する福祉…に申し込む事を貧困家庭は思いつけない。長期的視野も奪う。
5章
ロシアのクズネッツが80年前に築いたGDPは戦争生産能力に優れた指標。人生を価値あるものにするには新しい指標が必要。WikipediaやSkypeはGDPを下げる。
7章
1968年NYのゴミストライキと非常事態宣言。
富の創造より移動に税制優遇され、優秀な人材は移動に投資された。
8章
ロボやAIは人より生産性が高いが、車は買わない。
11章 終章
再選を望む政治家は極端なアイデアを敬遠する。急進的な物、オヴァートンの窓の外にある物を比較的穏当に見せるには、更に破壊的なアイデアを公表するのが戦略。
(著者の立ち位置からかソースノートの参照先は本よりもURLが多い…信憑性はもう本もURLも同等なんですかね。存じ上げず)
Posted by ブクログ
ベーシックインカム、週15時間労働、国境の開放。過去最大に反映したユートピアだけど幸せを感じないのは何故か。より良い世界を思い描くことができないから。資本主義では現代の豊ぎょう?の地を維持できない。福祉はいらない、直接お金を与えればいい。福祉の複雑なシステムのコストを考えれば財源的にも実現不可能ではない。欠乏の心理。判断力が下がる。同じように貧困も個人のIQを13低下させる。ニクソンはベーシックインカム導入の直前まで行ってた。スピーナムランド制度の報告書問題。GDPが見逃している労働は身の回りに多く存在。お金が動かないとカウントされない。進歩による安価の計算もできない。クズネッツ。富の創造ではなく富の移動を目的とする仕事に優秀な人材がとられている。くだらない仕事が多い。国境を開くことで富は増大する。開発支援の効果はわからない。真実を見抜く1人の声が集団の幻想を覚ます。認知的不協和。集団が同じ答えだと自分の答えを言えない。1人でも別の答えがいると言える。ユートピア主義者になる勇気を備えた忍耐強い思索家が必要。おヴァートンの窓。負け犬の社会主義。常識に流されてはいけない。かつて、奴隷制度の廃止、女性の参政権、同性婚の容認を求めた人々は狂人とみなされていた。
Posted by ブクログ
近現代を振り返り、テクノロジーやAIがもたらした人々への経済的な富の内容は興味深かった
また、ベーシックインカムに対しての考え方も理解でき、180度見方が変わった
今はまだ世の中には受け入れられないだろうが、近い将来にその道を歩むのは目に見えた
いまの社会構造を世界視点で分かりやすい記述で、大変勉強になった
Posted by ブクログ
人類は有史以来、生産性向上により労働時間を短縮させてきた。農業の始まりから18世紀頃までは大きな変化は見られないが、産業革命以降労働時間は段々と減っていっていた。そのまま減っていくかと思いきや、1980年代以降、減少トレンドは反転し、現在まで労働時間は減らずにむしろ増えてしまっている。このことに対してブレグマンは労働に関する調査から多くの人々が「意味のない仕事」をさせられていると感じていることを示す。また、こうした状況は高所得者により顕著に表れていて、高時給であるがゆえに「働かないことによる逸失コスト」を加味した行動をとってしまうと考えられている。このような状況を打破することはできないか、人々が本当に必要とされ、意義を感じられる仕事ができないか。そこでブレグマンはベーシックインカムによる現金給付こそが人々の行動を変えられるのではないかと説く。ベーシックインカムの議論は往々にして人間の負の側面に着目して、怠惰な人間が増え、社会が破綻してしまうのではないかと言われる。しかし、それに対してブレグマンはあらゆる地域で行われてきた過去の社会実験を再検証し、その実際の効果は非常に有効であることを示した。アメリカでも1960年代に導入が決まりかけていたという事実には驚いた。ベーシックインカムを得た人々は本当に自分にとって必要なものを選び取り、自分にとって最良の人生を歩む手段を手にすることができるのだ。
前回読んだ山口周さんの本に書かれていることが世界各国のさまざまな事例を元に描かれていた。資本主義が200年に渡って人類を大きく成長させ、飢えや貧困から多くの人々を救ってきたが、今後私たちはより平等に人生を謳歌できるような社会システムを気づいていく必要性を感じた。「それって本当に必要?」と思う事象は社会の至る所に存在するが、それらの「幻想によって必要だと思われるから作られたもの」ではなく「各自が本当に望むもの」を手に入れられる環境を作ることが大切だと思った。