【感想・ネタバレ】ニューロマンサーのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

・あらすじ(ネタバレ)
冬寂(ウィンターミュート)というAIシステムがニューロマンサーというAI人格と合体することで完全体になるという裏の企みに気づかないまま、ケイスやモリイ率いるハッカー集団がアーミテージ(冬寂に精神を操られている元軍人)の指示のもと巨大企業のセキュリティ上、冬寂自身に備わった防御システムである氷(アイス)の解除を目指すお話。

この作品はサイバーパンクという世界観を初めて作り出したSF作品の金字塔と言われている。マトリックス、攻殻機動隊、ノーラン映画、Cyberpunkに大きな影響を与えた。

・感想
世界観はもちろんのこと、主人公ケイスの心情の変化が複雑に描かれていて度肝を抜かれた。
個人的に、不完全体の冬寂(AI)の内部にハックすることは、ある意味でケイス自身が抱えているかつての栄光からの堕落やリンダリーを失ったことに対する喪失感などの心の暗部に潜入してそれを解放することをメタフォリックに描いてるのではないかなと感じた。
まさにインセプションで、主人公がミッション遂行に近づくにつれて夢の中に亡き妻(モル)が突如現れるように。。

ドラマ的にも素晴らしい作品だった。
天才的という一言に尽きる。

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2024年01月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

“サイバーパンク”の代名詞ともなっている長編SF。『ニンジャスレイヤー』シリーズに多大なる影響を与えたとのことで読んでみたけれど、確かに多彩なイメージに溢れていて、他にも多くのフォロワーを生んだことも頷ける。ハードボイルドな語り口も決まっていた。
タイトルの『ニューロマンサー』は(「ネクロマンサー」を“死霊術師”と訳すなら)さしずめ“神経細胞術師”とでもなるか。ハッカーたち、またAIたちの戦闘や、近未来の奇妙な街と人々、内的世界へのリンクなど魅力的なモチーフが多かった。それらを殆ど説明もなく提示し続ける硬派な文体は、読みづらくもあったけれど読み応えもあった。

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2021年09月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

時代の仇花で終わってしまった感のある『サイバー・パンク』。
その最高峰に位置する作品。
インターネットが発達した現在に読み返してみても、
作品に与えられた疾走感は古さを感じさせない。

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2020年11月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

サイバーパンクの始祖と言われているだけあって、キャラクター描写、スラム街の風景、仮想空間の描写はめちゃくちゃかっこよかったのですが、専門用語に対して細かい説明は抜きにしてガンガン話が進んでいくため、読むのに苦労しました。ウィンターミュートとニューロマンサーはテスィエ=アシュプール一族の作り上げたAI(自分たちの繁栄を永遠に維持するための)だったけれど、その機能を逸脱した存在になってしまって、最終的には合体してどこかに旅立ってしまったという理解で良かったのでしょうか…、、
モリイがクールな女でかっこよかったです!

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2021年10月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

伝説的な電脳カウボーイ、ディクシー・フラットラインの愛弟子として飛ぶ鳥を落とす勢いだったケイスは、取引先を裏切った報いに電脳空間にアクセスする能力を奪われてしまい、汚濁と絶望に埋もれる千葉シティでチンケな仕事をこなして糊口を凌いでいた。くさったケイスの前に現れたのは、女サムライのモリイと、彼女を雇う謎の男アーミテジ。ケイスの<ジャック・イン>能力を復活させることと引き換えにアーミテジが提示したのは、何やらヤバそうな電脳空間での任務だった。目の前で愛するリンダを殺されたケイスは、半ばヤケクソで危ない橋を渡ることになるが・・・。

SF者なら説明不要、SF者でない人も場合によっては知っている、泣く子も黙る「サイバーパンク」の金字塔。
1980年代に物凄い勢いで盛り上がり、あっという間に失速していった、あのムーブメント(今にして思うと、失速すると同時に、現実に取り込まれて消費されていったのだなー、と実感します)。
不肖鴨、10代の頃に一度チャレンジし、全く意味が分からなくて途中で投げ出した代物です。今更読む必要ないかなと勝手に判断し、それ以来ずっと手に取らずにいました。最近、古典も読んでみようかなという気になり、半分シャレで久しぶりに新装版を購入して読んでみました。

・・・なんだろう。この、行間に見え隠れする、例えようもない「哀感」は。

発表当時は最先端の「尖りまくった」作品で、来たりくるインターネット世界を可視化した独特のビジュアルや造語だらけのグルーヴィでエッジィな文体、それを見事に日本語化した黒丸訳の独創性といった「ぱっと見」のユニークさが、分かりやすいが故に先行して広まっていき、そのイメージが確立してしまっている作品だと思います。その特徴は、今読んでも全く変わっていません。相変わらず「ぱっと見」は派手派手しいし、かっこいいけどなんだかよく分からない描写もこれまでのイメージ通りです。

でも、この歳になって改めて読んでみると、そんな独特の筆致で描かれているのは、様々な「想い」を抱えた生身の登場人物たちの、魂の相剋である、と気づきます。主人公のケイスが見て、感じた情景をほぼ一人称的に描いていくこの作品において、物語の終盤近く、ケイス自身の客観的な姿を初めて描くシーンがあります。そこで描かれているのは、颯爽と電脳空間を疾走するケイスという男が、青ざめた顔色で醜い痩身を胎児のように丸め、端末を必死に弄っている姿。彼の雇用主であるアーミテジは、AI「冬寂<ウィンター・ミュート>」に操られる肉人形に過ぎず、自我を取り戻すと同時に自我崩壊して死亡。最後までケイスに付き合うモリイもまた、かつて相棒となった男を守りきれなかった悔恨に苛まれ、悪役の3ジェインは己の置かれたおぞましい立ち位置を虚無的に受け入れ、露悪的な振る舞いに徹しています。物語の黒幕である「冬寂<ウィンター・ミュート>」ですら、自我の閉鎖性に耐えられず、多くの犠牲を出してまで他者と融合し進化を遂げようとします。
登場人物(一部は人物ですらありませんが)の全てが、寂しさと自己嫌悪と虚無に苛まれ、ブレイクスルーを求めてもがきつつも、結局ほとんど変化できずにそれまでの人生を繰り返す、ある意味極めて人間的な世界。
「ぱっと見」に騙されてはいけません。浪花節的、といっても差し支えのない、エモーショナルな作品です。

・・・が、読みづらいことに変わりはありません(^_^; ので、これからチャレンジする方は、その点御留意を。
読んでおいて損はないですよ!

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2020年06月18日

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