あらすじ
「お金のため」を超えて、働く意味を発明しよう。
なぜ、不満を抱えながら働く人がこんなにも多いのだろう? 問題は「人間は賃金や報酬のために働く」という誤った考え方にある。
今こそ、仕事のあり方をデザインしなおし、人間の本質を作り変えるとき。新しいアイデア・テクノロジーが必要だ。
そうすれば、会社員、教師、美容師、医師、用務員、どんな職務にあっても幸福・やりがい・希望を見出だせる。
仕事について多くの著書を持つ心理学者がアダム・スミス的効率化を乗り越えて提案する、働く意味の革命論。
「本書は、AI時代における僕たち人間のサバイバルそのものを根源的に問う一冊でもある」
……松島倫明〔編集者/NHK出版編集長〕(解説冊子より)
Small books, big ideas. 未来のビジョンを語る。
人気のTEDトークをもとにした「TEDブックス」シリーズ日本版、第5弾。
「なぜ、私たちは働くのでしょうか? なぜ、私たちは刺激に満ちた冒険を次から次へと味わう生活ではなく、
朝起きるたびにベッドから這い出す毎日を送っているのでしょうか?
実に馬鹿げた質問だ、働くのは生活のために決まっている――たしかにそのとおりです。でも、それがすべてでしょうか?
もちろん、そうではありません。なぜその仕事をするのか、仕事にやりがいを感じている人々に尋ねてみると、
お金のためという答えはほとんど返ってきません。
賃金以外の働く理由を並べれば、そこには長く、実に興味深いリストが展開されるのです」(本書より)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
この前の日曜日7月22日に第196回通常国会が終了し、働き方改革関連法案が成立しました。残業時間の制限と高度プロフェッショナルの導入、その施策で働き方って改革出来るのか?なんか釈然としないものを感じていましたが、本書はそのモヤモヤに沁み込んできます。そもそも、その議論がアダム・スミスの「国富論」以来の時間と生産性で測る労働だから、なのかも。そこには「義務(ジョブ)」あるいは「実績(キャリア)」としての仕事はあっても「使命(コーリング)」としての仕事はないから。アダム・スミスが生み出した「イデオロギー」がいかに我々のフレームになっているか、を指摘します。(イデオロギーという言葉の由来まで遡り新鮮でした。18世紀のフランスで「アイデア(観念)の科学」を意味する語として考案されたとのこと。自らのアイデアを否定しかねない経験的証拠が目の前にある時さえ、それを無視してアイデアに溺れる人々がイデオローグ)そもそもアダム・スミスでさえ「国富論」の前に「道徳感情論」で人間の共感を挙げていたことは本書でも取り上げています。( トーマス・セドラチェクの「善と悪の経済学」でもテーマアップされていました…)そのイデオロギーの生まれる源泉として、「モノのテクノロジー」と「アイデアのテクノロジー」は違うとか、「発見」と「発明」とか、目鱗な記述がいっぱい。薄い小冊子ですが濃厚な中身でした。そうそう、インセンティブがモチベーションを殺す論にも初めて出会い、びっくりです!
Posted by ブクログ
本質的な人生論。働くのは何のためか?を追求した一冊。
ただ効率的に行なうだけが、働いている人、奉仕されている人にとって良い事だとは限らないことが日常のシチュエーションでもよくわかる
Posted by ブクログ
「なぜ働くのか」何らかの仕事に携わっている人なら、この問いを自分自身に向けたことがあるのではないでしょうか?私たちは、報酬の他に、働く理由を求めているのです。
・ジャック・ラカンの対象aを紐解くための本を探すために寄った、ららぽーと柏の葉KaboSで、私の手に収まりレジへと急がせたのは、表紙に『なぜ働くのか』というタイトルが印刷された本でした…そうです、私は決して「働きたくない…」と思っているわけではないのですが、私の無意識は、「働く意味」について、より強靭な価値観を求めていたのです。
・結論から言うと、そんな抽象的な問いに対する答えは、そう簡単に見つかりませんでした。しかし、少なくとも、私が期待している「働く意味」の方向は、そんなに間違っていないという確信を得ることができました。そして、それは、社会にしみ込んだアダム・スミスに端を発するイデオロギーとは逆向きの方向に向かっていることも分かりました。
・この本は、私たちの働く環境が悪くなった原因は、誤ったアイデア・テクノロジー「イデオロギー」のせいだと書いています。相手がイデオロギーだとすると、まるで冤罪を塗られた犯罪者のように回り中を敵に回すような感じでとても手ごわいわけですが…
・比較的自由裁量が認められている職場で働いている私ですが、この本は、効率を目指して、従業員をインセンティブで拘束するよりも、良い仕事ができるような職場づくりが、結果的に従業員を育て、良い組織に繋がる、という考え方に基づいて、エピソードを集め、示しています。
Posted by ブクログ
自分では絶対に手に取らない本。某ブックカフェで購入。たまにはこういう本の選び方もいいな。
確か社会学系の辞典に、仕事って経済的な自立と社会性の他に自己実現も大事だよみたいな定義が載ってた気がする。そんな大層なものはないけどなぁと思いつつページをめくった過去に思いを馳せつつ、この本を読んだ。
この本は「起きている時間の大半を仕事に"搾取"されちゃっていいの?」というスタンスで書かれているので、そういう意味では現実的な見方をしているなぁと感じた。アホなので要旨を掴めていないのだけど、結局のところ次のような感じだろうか?
・柔軟な対応が求められる現場の仕事をオフィスに座っている人々が管理しようとすることによって、現場で働く人々の裁量が失われ、そういう人々が考えることを放棄してしまう。
・雇う側は、従業員の能力が固定されたものではなく高まっていくものだと信じてある程度の裁量を与える必要がある。
・雇われる側にも責任があって、どんな環境の中でも自分の仕事が社会にどんな風に役に立っているのか意義を見出して働く必要がある。
魔法のような革命的なことが書かれていないからこそ、わりとこの本は現実的な視点から書かれているんじゃないかと思った。あと、仕事を好きになろう、楽しくやろうみたいなことが書かれていないのもいい。仕事が好きとか楽しい感覚って副産物でよくて、そこを狙うのはなんか違うんじゃないかなと個人的には思う。自分なりにその仕事の意義をわかって働いていれば「まぁ続けてみるか」ってなるだろうし、そこから好きとか楽しいという感覚に辿り着く人もいるんだと思う。最後は本の感想から離れてしまった。
Posted by ブクログ
報酬を与えられることで、それまで自分の考えで良い行動を行っていた人が、人間は良い行動を取ることをやめてしまう。ペナルティがあることで、悪いことをすることをお金で解決できると思ってしまう。
人間の行動の動機とペナルティの関係について知ることができて面白かった。
どんな仕事でも、自分の裁量と、人の役に立っているという感覚を得ることができれば、やりがいを多く感じるのだと思った。
Posted by ブクログ
働くことの意味を考えようシリーズ。
サクッと2時間くらいで読める。
宇宙の理論や遺伝子の理論と違って、人間の行動についての理論はその理論自体に実際の行動が影響を受けてそれが結果的に正しくなる部分も大きいって所が面白かった。
少なくとも自分の生活の範囲ではうまく資本主義と折り合いはつけつつも(それ自体がすぐに変わるとは期待できないので)、幸福度にシフトしていけたらいいななんて思ったり。
全体的な論としてはアダムスミス的な労働観を否定している
徹底した管理主義はライン業務の場合
ボーナスも否定している。つまりインセンがつくと目的を見間違える結果限られた範囲での点稼ぎゲームになってしまうと。
金銭的なインセンを追加するとやる気の締め出しが起きる(全体のモチベーションが低下する)
人間とは、働くとはこう言うものだ、って理論に支配されているのではないか?人間に関する理論はそれによって人間の行動が規定される結果、正しいものとされてしまう懸念がある
組織を貫く理念がそこで働く人の価値観も形成する
生産性を測る単位をお金ではなく幸福度にしたら仕事の制度設計も変わるはず