【感想・ネタバレ】ニューヨークの妖精物語のレビュー

あらすじ

俳優を夢見てNYにやってきたエミリーは、念願かなって舞台で主役を獲得し脚光を浴びたその晩、忽然と姿を消してしまった。だが、姉のソフィーにはわかっていた。妹は妖精にさらわれたのだ。なぜならソフィーはかつて妖精の世界を訪れ、踊りを教えてもらったから。今頃になってあのときの対価を支払えというのか? とはいえ、警察に話しても信じてはもらえまい。ソフィーは、エミリーの友人の親切な刑事マイケルの追及をかわしつつ、妹を捜し始める。『ニューヨークの魔法使い』の著者が贈る、ロマンティックな現代のフェアリーテイル開幕。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

姉妹が妖精界の王座をめぐるいざこざに巻き込まれる話。始まりだからか、いろんなことが判明するまでが長く、キャラクターも読んでる側もちょっと途中疲れるところがありますが、一旦一区切りついています。ソフィーとマイケル、エミリーとイーモンのかなり問題あるペアがどうなっていくのかが次の話で気になるところです。タナカ刑事もなかなかいいキャラなので、仲間に入ってほしいですが難しいですか。

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2017年08月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・シャンナ・スウェンドソン「ニューヨークの妖精物語」(創元文庫)は 魔法製作所シリーズ作者の新シリーズであるらしい。今回は魔法より妖精である。製作所に妖精は何人も出てゐた。この妖精達、ニューヨークで人間に混ざつて住んでゐた。妖精の本来の容姿は人間とはいささか違ふのだが、目くらましで人間の目を欺いて人間の中で生きてゐた。物語も、魔法製作所である、妖精よりは魔法が中心だつた。あのマーリンもゐた。しかし、個人的にはこの妖精達にかなりの違和感を覚えてゐた。一般的な妖精のイメージと離れすぎてゐるのである。 別に羽根が生えてゐてほしいわけではない。その記述から想像する限り、正に所謂妖精離れしてゐるのである。それに対して今回のはどうか。妖精物語である。 カバーにも扉にも、ちやんと「フェアリーテイル」とある。書名は、正しくは「フェアリーテイル ニューヨークの……」とすべきなのかもしれない。舞台も人間界と妖精界にまたがる。だから、ここで始まるのは確かに妖精物語であるらしい。実際、魔法よりは妖精の物語であつた。ケイティーのシリーズとは違ふ。今回のソフィーの、いや姉ソフィーと妹エミリーのシリーズには魔法もあるが、それ以上に妖精の物語と言へる。個人的にはこちらの方がしつくりくる。だからと いつて昔風のステロタイプの妖精が登場するわけではない。そこは魔法製作所の作者である。ここでも似たやうな妖精を作り出してゐる。羽根を持たない、人間と容姿のよく似た妖精である。それでも所謂妖精に近い。それほどの違和感はない。「訳者あとがき」には、「ウェールズやアイルランドの神話が好きだという著者が子どもの頃から親しんできたさまざまな妖精譚の要素が随所に散りばめられていて云々」(432頁)とある。さう、妖精譚はやはりこれである。ドイル の妖精画如き世界でなくとも、妖精譚には妖精譚のお約束事があつてほしい。このソフィーの物語にはそれがある。だから、安心して読める。そしておもしろい。
・ソフィーは妖精と妖精界をかう説明する、「わたしたちが暮らすこの世界の下にあるもうひとつの世界、パラレルワールドって言ったらいいのかしら、そこに住んでいる超自然的な存在よ。わたしは彼らの世界へ行くことができるの。」(297~298頁)パラレルワールドといふ妖精界の位置づけは初めてきいたやうな気がする。しかも「この世界の下」といふのは、人間界と妖精界の境界域からすると、どうやら実際に地下、地中に当たる位置であるらしい。セントラル パークのオークの木の根元、ソフィーは妖精界への「入口を探さずに、このまま穴に潜り込んで直接妖精界へ行けないだろうかと考えた。」(69頁)といふほどである。これなどは製作所の発想が尾を引いてゐるのかもしれないと思ふ。この2つの世界は容易に行き来はできないが、決して無関係に、そして無縁に存在するわけではないといふのである。だからこそ、いささか体力を使ふらしいが、妖精も人間の中で存在でき、実際にエミリーはセントラルパークで妖精に拉致さ れたのである。そして、何よりも姉妹の存在がある。2人が妖精界に決定的な影響を及ぼすことにもなるのも、2つの世界が無縁ではないからである。しかし、 妖精は「超自然的な存在」である。魔法が使へる。といふわけで、拉致された妹を救出すべく姉の戦ひが始まる。この物語をごく大雑把に言つてしまへば、妖精の女王と人間の戦ひといふことにならう。しかも、妖精側は人質をとつてゐるのである。かくして、スウェンドソン流の妖精物語が展開していく。きちんとしたお約束を踏まへた新しい物語はおもしろい。続編を待つ。

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2017年09月17日

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