【感想・ネタバレ】電通の深層のレビュー

あらすじ

高橋まつりさん過労自殺、強制捜査、社長辞任
「鬼十則」を捨てた「電通」に未来はあるか

衝撃のデビュー作『小説電通』から35年――ノンフィクションの巨魁大下英治が描く、「日本のCIA」電通の光芒と闇

長時間労働、パワーハラスメントによる「電通」東大卒新入社員高橋まつりさんの過労自殺、強制捜査、そして社長辞任。
巨大広告代理店「電通」は、歴史的に日本の政官業すべてを支配する構造――「一業種多社制」を有している。
「電通省」、「日本のCIA」と呼ばれ、業界最大のタブーとされた電通の闇に、『週刊文春』記者時代の1981年から鋭く切り込み、問題作『小説電通』でデビューした作家・大下英治が渾身の取材力を駆使して描く、巨艦「電通」の核心を突く激震ドキュメント!

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Posted by ブクログ

電通という一つの企業が、いかにして国を動かす企業となっていったのかが垣間見える本だった。
そして入社間もない女性が過労自殺に至るまでの経緯や原因、その後の電通の改革にも切り込んでいて、好感が持てた。
ここまでの強大な力を持った会社は、国益のために解体すべきなのか、それともクジラのような巨体を維持させておくべきなのか、考えてほしいものだ。
ネット広告が主流になった現代において、テレビや新聞が中心の電通は、自然に淘汰されていくのかもしれないが。

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2025年07月05日

Posted by ブクログ

電通の徹底分析に加え、少し古いが、著者の小説『小説電通』も付録でついてくるお得な本。業界最大のタブーという書き方だが、業界だけではなく、最早日本に蔓延る闇のプラットフォーマである。取り上げられるのは長時間労働やパワハラによる従業員自殺の事件から。オリンピック問題の前の書になるが、既にそれを予感させる内容だ。忘れていたが、有名な高橋まつりさんの事件の前にも似たような事件があったり、不正請求事件があったのだ。そうした問題に対して自浄作用が働かないという点も問題として語られる。

― 電通では、二〇一六年九月、インターネット広告業務で不正な取引があり、トヨタ自動車をはじめとする広告主に代金の過大請求を繰り返していたと発表していた。この際には、担当部署が恒常的な人手不足に陥っていたと説明し、「現場を理解して人員配置すべきだった」として経営に責任があるとしていた。高橋さんが所属していたのも、ネット広告業務を扱う部署だった。電通では、一九九一年にも入社二年目の社員の大嶋一郎さん(当時二四歳)が自殺していた。電通は、当時、会社としての責任を認めなかった。が、二〇〇〇年三月の最高裁判決は、「会社は過労で社員が心身の健康を損なわないようにする責任がある」と認定した。過労自殺で会社の責任を認める司法判断の流れをつくる判決であった。

― 電通は、海老沢会長を潰すために、海老沢自身のスキャンダルを探した。しかし、カネも女性問題も、一切出てこない。そこで、あらゆる手段を使って、海老沢会長をNHKから追い出す作戦に出た。二〇〇四年、『週刊文春』七月二九日号にNHKのスキャンダル記事が掲載された。「みなさまの受信料で甘い汁衝撃の内部告発NHK紅白プロデューサーが制作費八〇〇〇万円を横領・・従来、NHKはオリンピックの放映権料について、エージェントを通さず、IOC(国際オリンピックを員会)と直接契約していた。だが、海老沢が失脚して以降、電通を通じて金を支払う仕組みに変わった。スポーツ報道センターで契約や支払いなどの実務を担当していた立花は、ある日、目に飛び込んできた数字を見て、驚いた。
立花は、海老沢が失脚してから三年後、海老沢に電話した。
「すみませんでした。僕は、NHKのスキャンダルを背後で電通が操っていたとは気づきませんでした。だから、僕もNHKのスキャンダル情報を、『週刊文春』にガンガン流していました。海老沢会長は、日本を守るためにやってきていたんですね。そして、電通に嵌められたんですね」そういって謝る立花に、海老沢は返した。
「ああ・・・・・、君は今ごろ、わかったのか」

NHKと電通の戦いは、巨悪対巨悪というように見えてしまうのは何故だろう。日本の利権構造に対しては、どうすれば自浄作用が働くか、自浄が無理ならば、外圧が働くようにする事が課題だ。

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2024年11月19日

Posted by ブクログ

高橋まつりさんの死に端を発して、改めて浮かび上がった電通の様々な闇。
NHK海老沢会長との暗闘の辺りは大変面白かったが、終章では急に電通に気を使った感じで終わる。
終章で電通擁護論を張る二階派の伊藤忠彦衆院議員がクソな老害というのが分かっただけでもヨシとしませふ。

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2017年09月04日

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