あらすじ
1970年代、全国に革命の嵐が吹き荒れていた。6月23日の安保に反対するデモの日、大学生の滝口直樹は明治公園の入り口で、ML派全共闘の隊列に参加するかどうか迷っていた。行くべきか戻るべきか――。 それから40年後の東京で、カリスマ経営者として時代の寵児になった直樹が「鳥男」に出会うことによって経験する、ある奇跡。 誰もが思う「もし、あの時、こちらの道を選んでいたら?」。 そこに、まったく別の人生が広がっていたとしたら? どちらの人生が価値があるのか・・・運命に振り回されながらやがて直樹は、誰かを心から愛しながら日常をせいいっぱい生きるごく普通の人々こそが英雄なんだ、と気づく。思い切り笑って泣ける。心ふるえる感動の物語。
地方紙10紙に連載された長編小説。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ビートルズやストーンズ、忌野清志郎らの曲のフレーズが各所に登場する、60年代に生まれた自分にはとてもひかれる懐かしさを感じた。
学生時代に愛と命をかけた決断をてできなかった主人公が、そのときに決断をして今の自分と全然違うパラレルワールドの自分に入れ替わってしまうというお話。タイトルのここがロドスだ、ここで飛べ!」はイソップ寓話の「ほらふき男」のセリフをモチーフしており、人生のここ一番のときに実行する「決断をした」つまり「ロドスで飛んだんだ」っていうこと。
僕的には、最後の結末が本文とは逆のほうに帰着するほうがおもしろかったかなという気がする。
Posted by ブクログ
「宮崎日日新聞」を始めとする地方新聞に連載された(2009年4月〜10月)ものを単行本化。自分でロックバンドを率いてボーカルを担当するという山川さんの願望を半ば小説化した、中年男性向けのファンタジー作品かもしれない。前半の「全共闘世代」(これって今の人には死語だろうなあ…)の回想や、そのおよそ40年後の成功した日々の描写にはちょっと引いてしまう。「えっ、安直な成金IT社長の日々を語るつもりなの?」と疑問に思う辺りでようやく、夢で見た不思議な若い男が登場。そこからは山川さんの真骨頂。いきなり不思議で、非現実としか思えない世界へと放り込まれていく。