あらすじ
ころび伴天連(バテレン)の父と武士の娘である母を持ち、虚無をまとう孤高の剣士・眠狂四郎。彼は時に老中・水野忠邦の側頭役から依頼を受け、時に旅で訪れた土地で謎と遭遇して、数々の難事件を解決する名探偵でもあった。密室状態にある大名屋敷の湯殿で、奥女中が相次いで不可解な死を遂げる「湯殿の謎」。寝室で花嫁の首が刎ねられ、代りに罪人の首が継ぎ合せられていた「花嫁首」。偶然助太刀した武士の妻の仇討ちに隠された、意外な真相が明かされる「悪女仇討」。時代小説の大家が生み出した異色の名探偵が奇怪な事件に挑む、珠玉の21編を収録する。【収録作】「雛の首」「禁苑の怪」「悪魔祭」「千両箱異聞」「切腹心中」「皇后悪夢像」「湯殿の謎」「疑惑の棺」「妖異碓氷峠」「家康騒動」「毒と虚無僧」「謎の春雪」「からくり門」「芳香異変」「髑髏屋敷」「狂い部屋」「恋慕幽霊」「美女放心」「消えた兇器」「花嫁首」「悪女仇討」/編者解説=末國善己
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
柴田錬三郎の連作時代小説『花嫁首 眠狂四郎ミステリ傑作選(英題:Head of the Bride)』を読みました。
柴田錬三郎の作品は3年半くらい前に読んだ『御家人斬九郎』以来なので久し振りですね。
-----story-------------
時代小説の大家が贈る、孤高の剣士の名推理
異色の探偵の活躍を描く珠玉の21編
ころび伴天連(バテレン)の父と武士の娘である母を持ち、虚無をまとう孤高の剣士・眠狂四郎。
彼は時に老中・水野忠邦の側頭役から依頼を受け、時に旅で訪れた土地で謎と遭遇して、数々の難事件を解決する名探偵でもあった。
密室状態にある大名屋敷の湯殿で、奥女中が相次いで不可解な死を遂げる「湯殿の謎」。
寝室で花嫁の首が刎(は)ねられ、代りに罪人の首が継ぎ合せられていた「花嫁首」。
時代小説の大家が生み出した異色の名探偵が奇怪な事件に挑む、珠玉の21編を収録する。
解説=末國善己
-----------------------
眠狂四郎シリーズの中から、密室殺人・呪われた屋敷・山中の怪異・重要書類の消失・雪の密室・首切り殺人などに眠狂四郎が挑む、バラエティに富んだミステリ作品を21篇収録した一冊です。
■雛の首
■禁苑の怪
■悪魔祭
■千両箱異聞
■切腹心中
■皇后悪夢像
■湯殿の謎
■疑惑の棺
■妖異碓氷峠
■家康騒動
■毒と虚無僧
■謎の春雪
■からくり門
■芳香異変
■髑髏屋敷
■狂い部屋
■恋慕幽霊
■美女放心
■消えた兇器
■花嫁首
■悪女仇討
■編者解説 末國善己
時代小説の大家が生み出した、孤高の剣士・眠狂四郎……彼は時に老中・水野忠邦の依頼で、時に旅先で謎を解決する名探偵でもある! 異色の探偵の活躍を描く珠玉の21篇を収録。
記念すべきシリーズ第1話で狂四郎と金八の出会い等のシリーズの基本設定が描かれる『雛の首』、狂四郎の出生の秘密が明かされる『悪魔祭』が収録されていて、シリーズの全体像が掴みやすい構成でした……個人的には過去に住んだことのある、西宮の甲山を舞台にした『皇后悪夢像』や岡山を舞台にした『悪女仇討』(『眠狂四郎炎情剣』として1965年(昭和40年)映画化)も興味深かったですね。
面白かったのは、やはりミステリ色の強い作品、、、
家康自筆の天照大御神の絵を3点見つかり、その真贋を狂四郎が見抜く『家康騒動』、
雪の降った日、土蔵の扉に手を掛けたまま背中を刺された刺青師の弥太兵衛が見つかり、土蔵の中には縛られた女しかおらず、雪の上には弥太兵衛の足跡しかなかったという事件の謎を狂四郎が追う『謎の春雪』、
唐鐸奉納の正使である掌侍が茶亭で過ごしている間に、貴賓座敷にある白木箱の中から唐鐸が消えた謎を狂四郎が追う『からくり門』、
三千石の旗本が湯殿の中で刺殺され、兇器が見当たらない奇妙奇天烈な事件の謎を狂四郎が追う『消えた兇器』、
三河譜代の名門・加倉井家の婚礼で、花嫁が首をはねられて殺された奇怪な事件を狂四郎が追う『花嫁首』、
あたりが印象的だったかな……バラエティに富んだ作品が並んでいますが、21篇も続けて読むと、少し飽きちゃいますねー 意外とバカミス系やエロ系も多かったですね。
Posted by ブクログ
眠狂四郎シリーズの中からミステリチックな21編を収録した短編集。
密室殺人、消えた凶器、書類の紛失など不可能犯罪もあるが、週刊誌連載だったせいか波乱万丈なストーリーに謎解き要素を加えたという感じで、同じく創元推理文庫から出ている木枯らし紋次郎の作品集よりミステリ度は低い。
シリーズの中のセレクトなので、ときどき言及される人物と狂四郎の関わりが飛び飛びで気になる。
大坪砂男がトリック提供をしていたというのは驚いた。
Posted by ブクログ
先日読んだ、木枯らし紋次郎シリーズのミステリー傑作選がなかなか良かったので、たまたま見つけたこちらの作品も読んでみた。
初めて読む眠狂四郎シリーズ。
円月殺法くらいしか知らなかったので、どんな男かと思っていたら、紋次郎とは真逆のキャラクター。
編者あとがきによると、作家さんが当時流行っていた正統派時代物ヒーローとは真逆にしようと、眠狂四郎というキャラクターを作り上げたらしい。
水野忠邦の側頭役・武部仙十郎の依頼で様々な事件の解決に取り組むことが多いものの、武部に飼われているというわけでもなく、好奇心のままに事件に首を突っ込むこともある。
何より女好き。気ままに女に情を掛けておいて気を持たせたり突き放したり。それでもモテるのだからよく分からない。
女だけではない、狂四郎と何かとコンビを組むスリの金八まで懐いている。天然の人たらしなのか。
信仰を捨てた『ころび伴天連』の父と、父に襲われて自分を産んだ武家の娘である母との間に生まれた狂四郎。
作品集の中では父に復讐の刃を向けるシーンもある。
さしたる故なくとも刀を振るう、生きる凶器のように感じる場面すらある。
だがそういうダークヒーローを徹底したから人気があったのかも知れない。
ミステリー傑作選という割には一編が短いので、謎解きをする間もなく終わってしまうものもある。
それと、結構艶っぽい話が多い。現代のような生々しい描写はないものの、大人向けだろう。
ただ凶器や物の消失、密室殺人、花嫁の首が斬られ代わりに罪人の首が繋ぎ合わされているという、横溝先生の作品のような話もあってワクワクした。
しかしやはり一話が短くて、あの人は、あのことはその後どうなったのか置き去りな感じがちょっと勿体無い。