あらすじ
賢者は、人間はいかなる時でも平常心を失うなという。しかし私にはその「平常心」というやつがどんなものかわからない。ふだんから、「矢でもテッポでももってこい!」という心でいるから、すぐ逆上して突っ走って外から来た苦労を自分で倍にも三倍にもしてしまう。しかし、そのおかげでまあまあ元気に人生への情熱を失わずに生きてこられた。「苦労の数々」に今、感謝している――(本文より抜粋) 60代後半に書かれた原稿の新装復刊である本書には、この60代後半の日々があってこその、93歳を超えて大ブレイク中の秘密が詰まっています。 自分を自然に任せきる(「自然」を「神」と考えてもいい)/病院に行くぐらいなら気絶して痛みを乗り越え自然治癒力を養う/いかなるマイナスにも動じなくなる「株」は人生修行の場/人間万事塞翁が馬。不幸な結婚は私を作家にした/脚長きハンサムな若者には気をつけよ…面白くて元気になる本!
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Posted by ブクログ
作家が25年前に出したエッセーの新装復刊本。
独特の毒気と昔気質感、お嬢様的なところ、年寄りの甘えと意地的なところも含めて佐藤愛子ワールドを感じた。
世間におもねることなく、しかし相手の立場や想いは見つめ、自分なりの身の処し方の筋を通している点は、自分もそうしかできないと共感した。
17-116
Posted by ブクログ
2017 第1版
戦争という激動の混乱の中を生き抜いてきた、大正12年生まれの痛快エッセイ。二度の離婚を経て物書きとして生計を立てるようになり、友達、家族に呆れられようと世間の逆風を受けようと、良妻賢母の価値観よりも自らの感性を恃み言うべきと思ったことを言う、すべきと感じたことをする。
どんな人間も死ぬときは死ぬ、正直は美徳か、男女の不当な差別は嫌だが差異はあった方が豊かだ、便利なモノを得ようとして窮屈になる。
‥‥
弱っている時、どうしたらいいかわからない時、うまくいかない時、私は常識や他人の評価が気になるということに、最近やっと気づいた。病んでいると集中できてドラマティックな小説などに逃げ込みたいが、今思えば物事を深刻に考えてもいいことはあまりない。面白いか面白くないか、やりたいかやりたくないか、それさえ分かっていれば、別に声高に正義をがなり立てずとも、いずれ収まるところに収まっていく。私の力など高が知れている。これでいいのだ、なんだっていい、そう思える本。
Posted by ブクログ
一見下らない事を真面目なようで不真面目に書いてあるので、こっちも気楽に読める。無責任なようで、そこまで行かず、考えているようで、自分勝手。これこそ理想かと。
Posted by ブクログ
初めて読んだ、佐藤愛子氏のエッセイ。もっと面白おかしく自虐的でゲラゲラ笑える本かと期待して読んだが、内容は、佐藤氏が日常イライラしていることにたいして、怒りをぶちまけている感じである。「上機嫌」というタイトルとはかけ離れていると思った。
大正生まれの佐藤氏は、2回離婚しており、それなりに苦労して娘を育ててきたようだ。娘が巣立ち、講演会などで多忙にしている様子。女性が活躍することに逆風が吹き荒れていた時代を通り抜けてきた貫禄がある。
彼女が書いているとおり、楽天家であることは長生きの何よりもの秘訣だと思う。楽天家で自信家だった祖母は104歳まで元気に生きた。楽天家になろうと思ってなれるものでもないが、理想の生き方だと思う。