【感想・ネタバレ】自分で考える練習 毎日の悩みを解決できる「哲学思考」のレビュー

あらすじ

哲学とは、「そもそも」を考えるための“思考法”。2500年もの長きにわたってとことん磨き上げてきたもの。だから、“哲学的思考法”を身につけているといないとでは、思考の深さと強さにおいて圧倒的な差が出る

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「哲学の本を読むとしたら、どれがおすすめ?」と聞かれたら、たぶんこの本をおすすめすると思う。
私の哲学に求める力を、わかりやすく丁寧に解説してくれるので。

著者・平原さんの本は「読まずに死ねない哲学名著50冊」以来2冊目。
最初の「哲学は先人の知恵を教えてくれるものではない」という言葉に、はっとさせられてそのまま読み進む。
哲学の本は割と読んでいるほうだと思うので、大まかな流れや主義なんかはなんとなく把握している。
それでも、やっぱり「なるほど」「そいうことか」と考えながら読んだ。

「正解」のない時代に自分で考え自分の人生を成立させる。
今までの哲学者たちも、そういった動揺の時代を思考という武器を使って生きたんだろうなと思った。
そして今の私も、その時代を生きている。そして自分で考えて生きることができる。

本の中では「還元」と「本質観取」がもうびっくりするくらい出てくる。
でもこれが「自分で考える練習」なのだと納得させられる。
最後のチャプターがまさに「自分で考える練習」で、ケースごとに本質観取を繰り返すのだけれど、
それに至るまでの哲学史(時代背景や先人の考え方)をきちんと踏まえているので、思ったよりも苦しくない。
あ、これさっきやったやつだな、と思いながら進められる。
短い区切りのなかで、きちんと振り返りながらステップアップして展開していくので、平原さんはきっとすごく優しい人なのだ…と思う。

哲学書を読むとたびたび出てくる「共通了解」。なんとなく概念は分かっていたつもりだけれども、これだけ納得しながら読めたのは平原さんの力だと思う。
「共通了解」には、長らく私たちに求められているコミュニケーションが必ずかかわってくる。
コミュニケーションは話し上手ではなく、聞き上手である必要があると思う。相手と自分の差異を認め、どう展開させるか。
本の中では「よい耳をもつこと」と書かれていた。そしてそれは自分以外の他者だけでなく、自分自身に対しても。
そして「普遍的な共通了解」は時代ごとに常に編みなおされるものだということ。これは「先人の偉大な知恵が、正解ではない」ということだと思った。
先人の思考の歴史を知ることで、それが答えだと飛びつくのではなく、現代の私たちはどうするか?を考える必要がある。

私のなかで課題に思っていた、生活経験の差。これについても触れられていた。これは経験がないからできない、というわけではないという。もちろんそうだと思う。もうちょっと一歩踏み込んで、理解できそうな気がする…まだ読み解けていない部分もあり。

まとめると、
短いスパンで振り返りながら展開していくので、読みやすい。そして自分の経験をうつしながら理解できる部分もあったので、読み進める抵抗が少ない。
そして読みながらの納得性もある。
なので、おすすめは?と聞かれたら進めたい一冊。
そして自分自身も、ふと読み返したいと思う本だった。
あらためて、私は「私が世界を理解するために」哲学を求めているのだと思った。

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2018年04月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

近代哲学からニーチェ、フッサールに至る認識論を踏まえ、還元と本質観取によって共通了解を深めることの大切さと、具体的方法論を提示する。
哲学の考えを時代を背景とした必然的結果として、神を中心においた中世哲学の主知主義と神秘主義の対立と、それを乗り越えるための認識論のアプローチは、自分にとって新鮮かつ理解しやすかった。
一方で、人間とロボットの違いとは? 道徳は本当に良いものか? 家族の意味は? 目標の意味は? 恋愛の意味は? 自由の意味は? といった問いに対する還元と本質観取のサンプルには、言葉の定義づけ(例えば「道徳」という絶対的なものがあるわけではなく、文化に照らしあるべき良き行為をそのように呼んでいるだけなのでは?)の問題意識やそもそも共通了解が得られる素地は単に個人の経験的思索を超えた普遍的要素があるのでは?(たとえば周波数の長い音を「低い」と感受・理解するのは単に文化や体験ではないものではないか?)といった考えも浮かんで、必ずしも共通了解しかねるものを感じた。
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2017年05月04日

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