感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
なんの話か?と思うような断片的なエピソードが重なり、人物像があらわれてくる。
エピソードの中にはかなり生理的に受け付け難いものもあり、主人公たちが受ける心の傷を理解できる。
理解はできるけれど、なんで、もう、そんなにも不器用なの?なんでそんなに、あちこちつまづくの?さらっと流して行けないの???
と言いたくなるような不器用すぎる人生にイライラしっぱなし。
拒食気味で偏屈なアリーチェと、自閉症気味のマッティア。
他人も巻き込んで、はた迷惑ながんこさ。
拒食で出産を拒否する妻に絶望して去っていく、アリーチェの夫ファビオは被害者とも思う。
その時に、アリーチェは9年ぶりにマッティアに連絡を取る。魂の半分ともいえそうな相手とふたたび会い、今度こそうまく行くかと思ったが、ファビオと破綻したとしらなかったマッティアは、彼女のもとを去る。運命と相手との決定的なすれ違い。
それでも読後感がいいのは、2人が共に前を向いたから。あの時ああしていたら、という思いと決別していく。
お互いに愛しあっていることを、お互いわからずに、それでも、別れることに納得した時に前を向いていける。
運命の相手よりもなお、自分自身と向かい合うことが2人を変えていく。イタリア的なBildungsromanとでも言えそう。
Posted by ブクログ
体に傷を負った少女と心に傷を負った少年の
孤独な1人と1人の物語。
2人が出会う前、出会ってから、離れたり
再会したりする中でそれぞれに「救い」の
存在を探し求めながら成長していく姿が
描かれている。
事故で片足が動かなくなった少女アリーチェと、
知的障害がある双子の妹を自分の故意による
行動によって失ったマッティア。
同じ場所にいてもそれぞれの孤独が明確に
存在していて特にマッティアの孤独は深くて
救いはどこにあるのかと感じる。
たとえ神様が妹を蘇らせてくれても彼は救われ
ないのかもしれない。
これだけ孤独を書いているのに物語のそこかしこに
瑞々しさを感じるのは若い2人が主人公だからか、
著者の筆致の成せる技か。
Posted by ブクログ
初めての恋愛小説。
2人の抱えてる闇に引っ張られて少ししんどくなりながら読んだ感じがしている。
最後の後悔しない選択が、そっちなんやなぁと思った。
子供は時に残酷だ。結局ミケーラはどうなったの?
Posted by ブクログ
心に消えない傷を負った少年と少女が惹かれあう、少年は天才的な数学の才能がある、というあらすじに加えてタイトルが素数たちの孤独。うまいなと思う。高尚な解釈をする事も出来るけど、個人的には『村上春樹+森博嗣÷2』という公式で良いかなと思った。
「孤独」とか「世界とうまくなじめない僕(私)」という世界観に加えて、数学の才能を持った少年が双子素数に二人をなぞらえ、「276088996665はアリーチェの数字」と二人の関係を数学に重ねる場面にキュンキュンした人は、絶対若かりし頃に「数字の中で、7だけが孤独ですもの」にキュンキュンした人だろうなと思う。大人になるとムズムズします。はい。この場面以外数学関係無く、世界を因数分解してくれるわけでもなく、正直数学の天才って設定は必要だったのかどうか。
物語は、男女の恋愛話ではない。「私(僕)は傷ついたんだ!」というのと同じくらい人は「周りを傷つけている」という事。そしてそこからまたみんな歩き出さなければいけないという事。
最後結局、ミケーラの謎もそのままで、アリーチェはマッティアだけ変わるのが嫌だったのか、それとも今更妹が見つかった所で誰も救われないという結論に至ったのか。二人がくっつかずに終わるのも無責任な気がした。
ベストセラーってものにもよるけど、いつも合わない。